22日から25日までスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に、ブラジルからジウマ大統領も出席した。24日に約30分の演説を行い、「世界金融危機の終焉に伴い、新興国の経済は活気を失いつつあるという説は早まっている」とのべ、先進国経済が回復の兆しを見せている中で、新興国は戦略的な役割を担い続けると強調した。24日付G1サイトなど各紙が報じた。
ジウマ大統領は新興国、なかでもブラジルについて、「2億人の消費者に支えられた国内市場を擁し、エネルギーや石油開発、農業など幅広い分野での膨大な投資の需要がある」とアピールし、「今後数年のブラジルの成功は、世界の投資家らとの協力にかかっている。私の政権では投資のための敷居を下げた」と呼びかけた。
また「世界的金融危機の影響を最も受けた先進諸国の回復で、世界にとって有利なグローバル経済が醸成されるだろう」と概括した。
世界各国の首脳や事業家が一堂に会した観客席を前に、ジウマ大統領は、世界の投資家のブラジルへの不信感の払拭を図ろうとした格好だ。「ブラジルでコンピューターを持っている家庭は全体の47%、液晶テレビを持っているのは8%に過ぎない」と例を挙げ、「開拓されていない市場がある。国民の社会的な上昇が加速し、ブラジルは中間所得層の国になりつつある」と話した。
「経済成長と同時に国民からは新たな要求や希望が生まれ、その一部が昨年の抗議行動に現れた」と説明し、現在も続くウクライナのデモとは異なりブラジルの〃抗議の波〃の折に、政府はデモを抑圧しなかったと強調、「政府は国民の声を聞き、理解した」との認識を強調した。
加えて政府が公共部門の純負債額を減らしたこともアピールした。大統領によれば、国の純負債額は09年には国内総生産の42・1%を占めていたが、2013年には34%にまで減り、総負債は同じく国内総生産の60・9%から58・5%に減ったという。「近いうちに、今年のプライマリー収支黒字計上に向けた目標を立て、引き続き負債の解消に努める。世界でおそらく最も公的債務が少ない国の一つではないか」とした。
最後に「ワールドカップへの投資は、国の需要から生じた投資でもある」とした上で、今年のW杯、2016年五輪への参加を呼びかけて演説を終えた。
なお、世界経済フォーラムは1971年に独立した国際機関として設立され、約2500人の選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者などのトップリーダーが一堂に会し、世界が直面する重大な問題に関して議論を行う場となっている。