ニッケイ新聞 2014年1月28日
サンパウロ市クラコランジアでの麻薬依存者更正プログラム「ブラッソス・アベルトス」について25日、初となる週給が支払われた。その影響もあり、クラコランジアでのクラックの値段が2倍に跳ね上がる事態も起きた。26日付フォーリャ紙が報じている。
15日に開始した「ブラッソス・アベルトス」は、麻薬依存者に1日4時間、日給15レアルで同地周辺の道路や広場を清掃させるもので、労働を通して社会参加意識を芽生えさせ、麻薬依存から立ち直らせることを目的としている。
そのスタートから8日目(土日は除く)を迎えた24日、このプログラムに登録している302人に、8日分の給料である120レアルが支給された。給料を受け取った常用者は喜び、かけつけた報道陣に対し札束を意気揚揚と見せる光景も見られた。
2人でプログラムを受けているある夫婦は、「この240レアルで中古のテレビを買いに行く。これからやっと文化的な生活ができる」と喜んでいた。
その一方で、クラコランジア内で新たな動きも起きた。それは、これまでひとつ10レアル単位で売られていたクラックが、この日に一気に2倍の20レアルと跳ね上がったことだ。「もう10年間、10レアルで固定されつづけてきた」と関係者も語るクラックの値段だったが、どうやら密売者たちは、この新しいプログラムで経済力の上がった参加者を狙った取引を目論み始めているようだ。
サンパウロ市は「ブラッソス・アベルトス」で400人を定員の上限として、このプログラムを行なって行く予定だ。先週の時点で302人参加なのでまだ余裕がある。クラコランジアには定住者500人、頻繁に行き来している依存者が300人いると言われている。