今月25日のサンパウロ市誕生記念日に大規模な反W杯デモが全国的に行われた。W杯本番期間中の抗議デモ、それに伴う暴力行為の可能性を懸念する連邦政府は、特別治安維持対策を全国15州で行うことを決めた。28日付フォーリャ紙などが報じた。
開催12都市での実施は前から決まっていたが、この12州以外の3州(アラゴアス、アラカジュ、エスピリトサント各州)ではガーナ、ギリシャ、オーストラリアがそれぞれキャンプを行うため、15州まで広げられることになった。
開催12州のうち6州は、各国代表チームのキャンプ地ともなる。最も集中するのはサンパウロ州で、日本を含め15カ国の代表が合宿を行う。期間中はスタジアム、選手の合宿所やトレーニングセンター周辺、各国要人の保護において厳重な警備体制が敷かれる。
特別治安対策の計画書は先週大統領府に提出され、ジウマ大統領自らが検討することになる。
大会中は軍警が〃市民の暴動〃(disturbio Civis)と呼ばれるものをコントロールする責任を担っており、もし各州の知事が望めば国家公安警察の支援も要請されることになる。
連邦警察と道路警察は各国代表チームや要人の移動中の護衛や、国境を越えた犯罪やテロなどの抑制に努める。
また、陸・海・空軍は、ジウマ大統領が決定した場合は路上の警備を強化することになるが、特に空域、海域、国境付近の警備、サイバー・テロの防止などを担う。
他にも国家情報部(Abin)はサイバー犯罪対策、国税庁は貨物、車両、人の輸送のコントロールなどで協力する。
また防衛省は29日、W杯に向けた「治安維持キャラバン」を開始したと同日付G1サイトが報じた。向こう2週間を通して、連警の捜査官で、巨大イベントに向けた特別安全局のアンドレイ・ロドリゲス局長、軍隊の総合参謀本部長のジョゼ・カルロス・デ・ナルディ大将が開催地12州を訪問し、各州保安局長らと会合を持つというものだ。
最初の訪問地はリオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタルで、同日会合が開かれた。2人は訪問中に各地の警察組織、消防隊、道路の監視組織などに対して、W杯に向けた安全対策強化の指導を行い、警察官の訓練状況の視察なども行われる。
30日にはセアラ州フォルタレーザで、州保安局の対策チームとの会合がもたれる予定だ。
なお2月13日には、大会に参加する32カ国の保安担当者ら(各国大使館の代表者)がブラジリアの連警に集まり、最初の会議が開かれる。そこで、当地政府関係者は各警察の役割、各国チームへの護衛がどのように行われるかなどを説明する。
少なくとも10万人の警察官が大会の警備に動員される予定だ。