サンパウロ州で1月、観測史上最大の暑さと異例の少雨を記録したことで、サンパウロ州政府や同水道局(Sabesp)内で水不足への懸念が拡大している。今年は選挙年に加え、ワールドカップの年ということで、給水制限が必要となれば政治的な混乱も引き起こしかねない。1日付伯字紙が報じている。
国立気象観測所(INMET)が発表したところによると、サンパウロ市の1月の平均気温は31・9度を記録した。これは、過去最高だった1984年2月の平均の31・8度を抜き、1943年に観測を開始して以来、史上最高の気温となった。
だが、問題は1月の降水量が少なかったことだ。サンパウロ市北部やグアルーリョス市などにかけて広がり、サンパウロ州最大の水源であるカンタレイラ水系の貯水池では、1月末の水位が観測史上最低となる22・2%を記録した。昨年同時期の貯水量は52%で、この急速な減少は気がかりだ。同水系の1月の降水量は87・8ミリで、例年の259・0ミリの3分の1。Sabespによると、同地でのここ2カ月の降水量は1930年以降で最低の量だったという。
また、大サンパウロ市圏東部に端を発するチエテ川上流にあるアウト・チエテの貯水場も水位が44・7%に下がっている。この地域でも1月の降水量が、例年の246・6ミリから187・7ミリに落ちている。
雨の降らない暑い日は2月になっても続いている。1日や2日の気温は35度まで上昇し、湿度も30%を切って20%近くまで下がった。INMETによると、まとまった雨が降るのは10日頃になるという。
こうなると心配になってくるのが水不足だ。水位低下が深刻なカンタレイラ水系から給水を受けているのは、サンパウロ市北部や中央部、オザスコ、バルエリ、フランシスコ・モラートなどの840万人で、サンパウロ市東部の160万人は既に、アウト・チエテからの給水対象に移されている。
サンパウロ州政府は、この問題に対処すべく、1月31日に州庁でSabesp関係者と緊急会議を行った。Sabespは翌1日に、水道利用者に対し給水キャンペーンを発表した。それによると、水の消費量がここ12カ月の使用量平均より20%減った世帯には30%の水道料金割引を行う。さらに、水道料金の割引幅は、節水に貢献した度合いによって最大48%にまで拡大されるという。
また、不足が心配されるのは電気も同様だ。ブラジルの電力は大半が水力発電でまかなわれているため、水が少ない状況は致命傷だからだ。実際、カルドーゾ大統領時代の2001年には全国の世帯に20%の節電が呼びかけられたこともある。
だが、今年はワールドカップも開催され、ただでさえ消費電力が上がる条件下で節電というのは非常に困難だ。渇水状態に陥っているのはサンパウロ州だけでなく、南東部全般や中西部、北部でも同様の問題を抱えている。雨季にあたる夏以降の時期からW杯までの降水量がどうなるか、全国各地の水力発電所ダムの水位も気がかりなところだ。