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ピアウイー州の世界遺産が危機=管理する財団が「業務やめる」=政府からの管理費不足訴え

ニッケイ新聞 2014年2月6日

北部ピアウイー州都テレジーナから400~500キロ。四つの市にまたがって州の南西に位置するセーラ・ダ・カピバラ国立公園(Parque Nacional Serra da Capivara)は、ブラジルの世界文化遺産の一つだ。

園内には先史時代から残る、アメリカ大陸における考古学的に重要な1千の遺跡が保存されており、公園内一帯に広がる岩壁には南米最古といわれる壁画が刻まれている。約5万年前のものとされる工芸品も出ていることから、アメリカ大陸への人類の到達時期が、これまでの説とは異なる可能性を示していることでも価値が高い。

公園はこれらの遺跡を保護する目的で1979年に設立され、12万9千ヘクタールという広大な面積を有する。この公園は、アメリカ原人博物館財団(Fumdham)がシコ・メンデス生物多様性保護院(ICMBio)と共同で管理しているが、財団側は、保存管理資金の不足で、「管理業務をやめる」と言っている。

この話は既に10年以上も前からあるもので、同財団創設者の考古学者ニエデ・ギドン女史はついに今年初め、100人いる公園の職員に業務停止を言い渡した。彼女は契約取り消し金を支払うため、同財団所有の6台の車両を売るつもりだとしている。

一方のICMBioは環境省の関連団体で、公園管理に従事する同院所属の職員は2人しかいない。他の34人は外部から採用された人々だ。

公園の責任者フェルナンド・ティジアネル氏は、同財団が管理業務から外れることに対し、「そうなれば、これまでと同じレベルで管理をすることができない」と危機感を隠せない。

ギドン氏によれば、公園内には28箇所の管理事務所があるが、管理費がないせいで12箇所しか機能していないという。「悲しいことだけど、管理費としてはもう1月の分しか残っていない」というところまで切羽詰っているという。

同氏によれば、1カ月の管理費は40万レかかっていたが、今年1月分としては22万5千レしか残らなかった。それも、昨年石油公社ペトロブラスからの支援金130万レの余剰金だ。「ICMBioは、財団に対して固定の金額を下ろしていない。しかも最後に下りた金額は260万レだったが、2012年6月のこと」と憤る。

さらに、昨年初めに国立歴史芸術遺産院(Iphan)にも支援を要請したが、返事がなかったという。

これに対してICMBioは、「たとえ財団が管理業務から下りても、公園内の管理は継続される」と言う。今年の予算はまだ出ていないが、昨年は管理費に90万8千レ出したとしている。

しかも、この公園の管理費としては特別に50万レが用意されており、この金額は同財団の昨年の会計報告の精査が行われた後に出るという。

ペトロブラスのスポンサー契約は今年3月に切れるが、延長するかどうかはまだ明らかになっていない。Iphanは、今年は50の遺跡保護に対して50万レの管理費を出すとしているが、いつ下りるかは未定だ。

ちなみに、公園への年間の訪問客は2万人。入場料は25レアルだが、ブラジル人ならびに国内に住む外国人なら半額。入場料による収益は連邦政府の収入となっている。(1月15日付フォーリャ紙より)