4日午後2時過ぎ、南伯、南東伯、中西伯とトカンチンス州の11州で広域停電が発生し、600万人に影響が出たと5日付伯字紙が報じた。
広域停電の発端は、トカンチンス州コリーナスとゴイアス州のセーラ・ダ・メーザ間の送電線で午後2時3分に起きた短絡(ショート)だ。3本の線の内2本で短絡が起き、送電が自動的に遮断されたため、負荷が増えた3本目の線もまもなく送電が遮断された。
コリーナス~セーラ・ダ・メーザを繋ぐ南北線は、北伯の一部と北東伯への送電網と、中西伯から南東、南伯を結ぶ送電網を繋ぐ主要線だ。全国接続システム(SIN)を管理する全国電力システム運営機構(ONS)は送電は38分後に回復したというが、リオ市やサンパウロ市では、地下鉄などの運行を優先する選択送電が行われたため、午後5時半になっても工場への送電や信号機が回復していない地域があった。
ONSは、短絡発生時の南北線の送電量は4800メガワットで、許容量の5100メガワット以下と発表。近年の電力需要のピークは午後2時半~3時半だが、今回の広域停電は電力不足によるものではないし、異常発生時の自動遮断システムも正常に機能しており、電力システムが極限状態に陥った訳ではないと説明している。
動力鉱山省担当者も同様の見解だが、DZネゴシオス・コン・エネルジアのダヴィ・ジウベルスタイン氏は、電力需要が高まる時間帯で水力発電所のダム貯水量低下、送電網の整備の遅れといった悪条件が重なっていなければ、今回の広域停電は避け得たと見ている。送電網整備については、大規模電力消費者協会のパウロ・ペドローザ氏が平均13カ月の遅れとの見解を示している。
4日に起きた南北線での短絡の原因分析は6日の会議で行われるが、ルーラ政権の動鉱相を務めたジウマ大統領は、選挙年の広域停電がイメージ低下に繋がる事を懸念し、4日に招集した会議で、「現政権は電力供給拡大に努めており、電力不足は起こらない」と公言出来るような対策強化を指示した。連邦政府は先週から、発電能力拡大のための発電所建設を加速させるべく、入札予定前倒しなどを検討中だ。4日の会議では、早期の入札実現のため、環境許可取得手続きの迅速化などが話し合われ、パラー州タパジョース水力発電所建設のための入札を今年行う事も決まった。
なお、従来の電力需要のピークは午後6時前後だったが、近年はエアコンや扇風機の利用増で、日中の最高気温を記録する時間帯がピークとなる傾向にある。4日のリオ市の最高気温は40・8度など、夏の猛暑もこの傾向を後押し。3日の電力消費のピークは午後3時32分だった。