サンパウロ市ルス区の美術工芸学院(Liceu de Artes e Oficio)で4日未明、火災が起き、建物に収められていた価値ある彫刻作品などが損傷した。5日付フォーリャ紙などが報じた。
最も被害を受けたのは校舎に併設され、床や天井などに木材が使われている文化センターで、4日午前1時前に上がった火の手は瞬く間に燃え広がった。21台の消防車が送られ、午前7時までに火は消し止められた。
火災の原因は現在調査中だが、短絡の可能性が高いようだ。事故当夜、明かりのついたランプの辺りから煙が出ているのを発見した警備員らは、火災発生に気づき消火器で消火を試みたが、追いつかなかったという。
建物は天井の一部が落ちてガラスが粉々になり、木造タイルの床も損傷した。ただし、防災局によれば建物全体が倒壊する恐れはないという。
この被害で学校の授業は来週まで延期され、清掃作業や現場検証が行われる。火災による負傷者は出なかった。
この火災で、建物に収められていた古い調度品や昔の学校の写真、ミケランジェロのピエタ、ダビデ像、古代ギリシャで制作されたミロのヴィーナス、ラオコーン像など古代やルネッサンス期の有名な彫刻のレプリカ29作品(エスタード紙では28作品)が被害を受けた。
これらは1906年、生徒への模範作品としてヨーロッパから輸入されたもので、芸術品としての価値が高いものだ。幸いにも宗教美術館、ピナコテッカで修復が可能だという。
5日付エスタード紙によれば、被害を受けた建物の消防署の監査証明書は、20年前に切れたままだった。2012年に学校は新整備計画を提出し、消防署に認可されたが、新たな消防の立ち入り検査は要請されていなかったという。
学校は1873年に設立され140年の歴史がある。学校の卒業生には、イビラプエラ公園にある「発見のモニュメント」等で有名な彫刻家ヴィートル・ブレシェレがいる。
サンパウロ市芸術学校で火災被害=貴重な彫刻作品が損傷
ニッケイ新聞 2014年2月6日