「(紹介しろ)」
「(中嶋さんだ)」
「(やっぱり、想像した通り例のボーズだな、どこに住んでいる?」
「どうでもいいじゃないか。取材は止めてくれ! それに、フルカワには関係ないと言っただろう」
「なんで? ジョージの知合いは俺の知合いだろうが。それで?」
「・・・。俺達、ゆっくり酒を飲みにきたんだ。質問はしないでくれ」
「分かった。質問やめるから、本当の事言ってくれ」
「(しつっこいなー)」
「記事にしないから、いいだろう?」
「フルカワは町の噂を記事にして・・・」
「噂ほどいいニュースはないじゃないか。読者の興味を引くしな。それに、責任負わなくてもいいし」
「(それで、ウソのニュースを平気で・・・無責任な奴め!)」
「噂の出所をハッキリさせれば大丈夫だ! 読者は噂が好きなんだ」
「(ウソを記事にする記者は起訴するぞ!)」
「なんだとー。この二世のセックス・テロリスト!」
「なに~!(俺はセックス依存症と云う病人なんだ)」
「ちゃんと法的逃げ口まで作りやがって、お前に泣かされた女がその辺にうようよしているのを知らないのか!」
「なんだ~、このパーマネント・セックス・カレンテ『慢性欲求不満』!」
「お前の被害者のリストがある」
「(愚かな社会道徳追従偽善者め!)じゃー、そのリストを見せろ」
「見せられるか! 『色キチガイの刑事に消された女達』と書く破目になるからな。それに、ニュースの『ネタ』は『タネ』の隠語でリストを隠す義務がある。プロとして言えるものか」
「記者の義務? 俺は男の義務を果たしたまでだ」
「その義務とは関係ないだろう! 変態男の出没と書き立てるぞ!」
「(密室の四つん這いの行為の立証は、証人がなく、絶対無理だな)」
「(お前は社会不適合者のクソ野朗!)」
「クソはお前だ、クソを踏んで『溶けだした!』と叫んでいたお前を見たぞ!」
「あの時、踏んだのはお前だったからだ。このクソ野朗!」
二人は、理性を無くし、一歩も譲らず、何語で話しているのか、如何して喧嘩になったのかも分からず、ただ怒り合った。このままだと、掴み合いになる剣幕である。
「まっ、そんなに怒らなくても、どうかお互いに・・・」二人の昔からの事情や言い合っている内容も分からない中嶋和尚は険悪な雰囲気に驚いて間に入った。