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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年2月7日

 「クレジットカードの年利ほぼ1千%」(2日付けエスタード紙)との見出しに戦慄を覚えた。これはサンタンデルVISAカードで現金を引き出した場合だとある。年初に3千レアル借りれば、年末にはなんと3万2千レに膨れ上がる▼この数字をみて「トイチ」だと思い当たった。日本の闇金融の代表的な手口で、「十日で一割」を略してトイチといい、年利なら365%になる。それが複利で貸し付けられるため、実質年利は1千%を超える。当地では一般銀行が闇金レベルの高利貸しを公然とする▼日本では利息制限法で年利が20%以下に抑えられているから「サラ金」でも18%程度だ。当地銀行のシェッキ・エスペシャルの148%に比べても〃上品〃な商法だ▼中銀の発表によれば、クレジットカード利用者の3分の1が利子なしの一括払いをできず、分割払いをしており、その総額は260億レアルに上る。利用者全体の37%が「90日以上の返済遅滞」に陥っているにも関わらず「中銀は憂慮していない」と書かれている▼貸した側にとって一番美味しいのは、高金利の最低返済月額を延々と払い続けてくれる借り主を多く持つことだ。この部分が金融業の〃フィレ・ミニョン〃だ▼同記事にはサンタンデルでもメキシコなら年利53%、スペイン本国なら26%だとある。本国の26倍の暴利を当地でむさぼる。先進国では不可能なことを、一部の多国籍企業は金融規制が甘い新興国で平気でやって儲ける。先進国の金利を知らない一般国民はカードに踊らされ、複利計算すらできなくても嬉々として買い物をする。いずれカード破産が社会問題になること間違いなしだ。(深)