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正義の鉄槌は自分達で?=青年達が犯罪者らを処刑

ニッケイ新聞 2014年2月8日

リオ州バイシャーダ・フルミネンセで1月23日、20歳の青年が別の青年達によって路上に座らされていたところにバイクの二人乗りの青年が近づき、その内の一人がバイクから降りるや否や座っていた青年に銃弾3発を浴びせるという事件が起きた。

事件が起きたのはベウフォルド・ロッショ市でも交通量の多いプラッタ地区の路上で、午後6時半頃に青年が射殺されるまでの様子を撮影したビデオを解析した警察は6日、被害者はイーゴル・ヴェラス・デ・オリヴェイラ・ファルコン氏(20)と確定。事件に関わった人物の一人も特定された。

警察によると、この事件はベウフォルド・ロッショ市の商店主が個人的に雇った用心棒達による犯罪の可能性があるというが、警官や消防士などの公的機関の人間と民間人、政治家が共同で組織し、警備といった名目で金を集めた上、正義という名目の下で殺人や暴行を行う「ミリシア」の可能性も残っている。

ビデオを撮影していた人物は突然の発砲に驚いてビデオカメラの向きを変えたが、数人のグループに押さえつけられるようにして路上に座らされていた被害者が、撃たれる瞬間に腕を上げて弾を避けようとした様子やその後の銃声はすべて記録されていた。

目撃者らは、イーゴル氏は別の青年と共に窃盗行為を働こうとしたらしく、グループに追いかけられてバスに乗り込もうとしたところで捕らえられ、路上に座らされたと証言している。イーゴル氏と共に捕まった青年の遺体は、イーゴル氏の殺害現場から数メートルの所で見つかった。

同市を管轄する軍警によると、麻薬密売や殺害者グループに関与した疑いで捕まった人物は、ここ3カ月間で250人に上っているという。

州保安局によると、2013年1月~10月のバイシャーダ・フルミネンセでの殺人事件は前年同期比で27%増え、1411人が殺害された。これは1日に4・6人が殺された事を意味しており、殺人事件の増加率も、リオ市の9%やリオ州の15・6%を大きく上回っている。

バイシャーダ・フルミネンセでは、1960年代から正義の名の下で行われる殺人事件が起き始め、70年代には、ベウフォルド・ロッショやノヴァ・イグアス、ドゥッキ・デ・カシアスといった町で、復讐や借金の清算、矯正という名目で殺害を請け負うグループが現れ始めた。その中の一つがミリシアで、「消されるべき人物を消しただけ」という意識で動いている。ミリシアはリオ市などでも見られるが、権力を持つ地域内のガスや水、土地の販売などを取り仕切っているケースも少なくない。(7日付エスタード紙、6日付バンヂニュースなどより)