ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 爆発物点火の青年逮捕=カメラマン達の抗議連日=テロ防止法制定の動きは

爆発物点火の青年逮捕=カメラマン達の抗議連日=テロ防止法制定の動きは

ニッケイ新聞 2014年2月13日

【既報関連】7日にリオ市で起きたバス代値上げに対する抗議行動中、爆発物で頭部を直撃されたカメラマンが10日に脳死した事で、同業カメラマン達の抗議行動が起きている。爆発物に点火した青年は脳死判定当日に特定されて逮捕状が出ていたが逃亡、12日未明にバイア州で自首した後リオ市に移送されたと11~12日付伯字紙や各紙サイトが報じた。

バンジ局で約10年、通算では約20年間、カメラマンとして働いたサンチアゴ・アンドラーデ氏の死は、国内外に大きな波紋を投げかけた。

7日のサンチアゴ氏は他の取材後、局からの依頼で現場に急行。撮影を始めた直後、ロジョンと呼ばれる爆発物が頭部を直撃し、頭蓋骨陥没の重傷を負った。手術後もこん睡状態だった同氏に脳死判定が出たのは10日朝の事だった。

一方、サンチアゴ氏を襲った爆発物を使用した人物を探していたリオ市警は9日、爆発物を所持していた刺青師のファビオ・ラポーゾ容疑者を逮捕。爆発物点火者は10日に病院清掃職員のカイオ・シウヴァ・デ・ソウザ容疑者と判明し、11日にリオ州内で捜索が行われたが、本人は北東伯の親族を頼って逃亡を試みた後だった。

同容疑者は恋人の勧めで12日未明、バイア州フェイラ・デ・サンタナの宿泊施設で自首。連警職員らに連行され、同日朝の便でリオ市に着くと、ジャカレジーニョの施設に移送された。

同容疑者は逃亡前、母親に、警官隊に向けたはずのロジョンがサンチアゴ氏を直撃したのは事故だったと説明。警察連行後も、同氏遺族に謝罪する一方、爆発物がロジョンとは思わず点火したと供述した。ロジョンの飛距離は約100メートルで、近距離で直撃されれば衝撃が大きい。ファビオ容疑者から爆発物を受け取り、点火した映像公開後は、活動家達に殺される事も恐れていた。

サンチアゴ氏は一連の抗議行動の中で最初の犠牲者だが、報道関係者への暴行事件は13年6月以降118件、75%は警官によるものだった。政治家や麻薬密売者との関連で殺された関係者も13年中に6人いた。

10、11日にはブラジリアやリオでカメラマン達の抗議行動も起き、報道関係活動での安全要求の動きが強まった。10日には上院でテロ防止法制定を急ぐ動きも起きたが、ワールド杯前に治安悪化を国際社会に印象付けるのは良くないとの大統領府の判断で、審議が先送りされた。

他方、国連の高等弁務官は11日、サンチアゴ氏への哀悼の意と共に、抗議行動参加者や報道関係者への警察権力の乱用や、暴力的な抗議行動への懸念を表明した。連邦政府には、抗議行動への対処のための技術面の支援も申し入れている。