12日の下院で、汚職事件で有罪となって服役中のロンドニア州選出連邦下議、ナタン・ドナドン氏(無所属)に対する2回目の罷免投票が行なわれ、罷免を免れて物議を醸した前回とは一転して、反対票ゼロの圧倒的多数で罷免が決まった。前回と対照的に投票者の記名を義務付けた結果だと思われる。13日付伯字紙が報じている。
投票結果は467対0で「罷免」が圧勝するという、前回の投票結果とは全く対照的なものだった。票を棄権したのはアスドゥルバル・ベンテス下議(民主運動党・PMDB)のみで、欠席した議員は45人だった。
13年8月28日に行われた前回投票では、ドナドン氏が所属していたPMDBと労働者党(PT)の下議が中心となって、罷免にならないようロビー運動を行なった影響もあり、「罷免」票は過半数に24票足らない233票に終わった。「罷免免除」131票、投票棄権41票、欠席108人だった。
前回の投票後、エンリケ・アウヴェス下院議長(PMDB)はその結果を問題視し、結果が判明した後も、票を投じていなかった議員に投票を呼びかけるべく閉会を延ばし、ドナドン氏に対しても「服役中につき、議員としての活動は不可能」として休職扱いにした。
ドナドン氏はロンドニア州議会から800万レアルを横流しした罪で、「公金横領」と「犯罪計画」の罪に問われ、13年4カ月と10日の実刑判決を受け、13年6月28日から服役中だ。この場合、実刑期間が7年を超えているので昼間外出(セミ・アベルト)は認められない。
加えて、昨年6月に全国規模のマニフェスタソンがあったばかりで、「政治改革」が国民の要望としてあがっていた矢先の罷免免除ということも問題視された。
このドナドン問題のあと、下院・上院共に投票のあり方を問題視した結果、2001年頃から改正案にあがっていた「議員罷免など重要案件に関しては記名投票を義務付ける」という法案を通過させ、承認した。
前回の無記名での投票の際にはドナドン氏自身が「罷免免除」に票を投じていたことも発覚し、問題の傷口を広げた。
こうした改正を受け、今回はじめて記名式での罷免投票が行なわれたわけだが、同件への社会的関心の高さから議員としてのイメージ・ダウンを避けたのか、ドナドン氏を擁護する議員は一人もいなかった。
ドナドン氏は前回の投票同様、警察官を伴いブラジリアのパプーダの刑務所から下院の審議に参加したが、結果が出る前に下院を後にした。ドナドン氏は投票の最中から罷免を覚悟していたようで「記名投票になったことで、私の仲間が自身の本音とは裏腹の票を投じた」と語っていた。
今回の結果にアウヴェス議長は「はじめての記名式の罷免投票で下院が出すべき結果を出した」と、あえて冷静な調子で答えたが、携帯電話で結果を掲げた電光掲示板の写真を撮る議員の姿も目立った。