ポルト・アレグレの工事の遅れは、様々な要素が複合的に絡んでいる。行政によれば、予算の承認、工事のための土地収用の裁判所許可の遅れ、気候の問題などが原因だという。市は否定しているが、州の会計監査院(TCE)が公表した昨年9月のレポートには「計画性や効率性のなさ」が指摘されている。
10案件のうち4件を占めるのが交通インフラのプロジェクトだ。しかし、そのうちの一つ、バス高速輸送システム(BRT)が完全に出来上がり、運行開始となるのは来年以降だという。
この遅れは、会計監査院が「工事費が法外である」との疑いで工事を差し止めたためで、昨年10月になってやっと、道路の舗装が再開されたことに起因している。(舗装)終了は今年4月の予定だが、停留所やターミナルの建設業者の入札規定はまだ公表されていない。
会計監査院は、「工事の遅れが住民に混乱を来たし、公庫にも損害を与える結果になる」と指摘する。市のあちらこちらが工事中という状態がさらに続くからだ。司法判断で工事が止まった状態のバスターミナル周辺では、2カ月前から作業員の姿が見えない。
一般市民だけでなく商店主への影響も大きい。80~90%の損失が出ている店も少なくなく、商店主らは「道が封鎖され、見捨てられた雰囲気が客を遠ざけている」と訴えている。
サルガード・フィーリョ国際空港の改修は連邦政府の責任下にある。2011年12月、W杯を見越し、空港の年間の利用可能人数を、現在の1300万人から1500万人に増やすという計画が提出された。
この空港の改修は〃歴史的〃ともいえる遅れを取っており、予定から2年も遅れて開始されている工事がある一方、既にW杯向けの作業リストからは外された工事もある。
それが、10年以上前から公約されていた滑走路の拡張だ。920メートル拡張して大型航空機の発着を可能にするという計画は、2011年3月から工事開始の予定だったが、ついに工事が始まらないまま、リストから外れてしまった。
航空インフラ業務公社(Infraero)は、その遅れの原因はプロジェクトの複雑さにあるとしている。大型航空機の発着に地面が耐えるには、特別な処置をする必要がある。それにかなりのコストがかかるというのだ。
長距離バスターミナルの一部の拡張は、28カ月遅れて昨年10月に始まっており、大会直前の5月に終了予定だ。残りは2016年の完成が見込まれている。
なお、昨年8月には鉄道の駅と空港を結ぶ交通手段(リニアモーターカーに類似したもの)が完成している。長さ814メートルで、無料、一回で150人を運べる車両が動いている。(12月11日付G1サイトより)