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混乱止まらぬベネズエラ=抗議運動で3人が死亡=大統領独裁と失政で国2分=暗躍する過激リーダーも

ニッケイ新聞 2014年2月18日

ベネズエラで、故ウゴ・チャベス前大統領の後継者であるニコラス・マドゥーロ大統領と現政権に対する不満が高まり、12日に首都カラカスで起こった抗議運動では3人が死亡、逮捕者69人を出す大騒動となった。同国政府は、抗議運動を先導したとしてチャペコ市元市長のレオポルド・ロペス氏(42)らに逮捕状を出して追跡を行なっている。13~16日付伯字紙が報じている。

12日の騒動は、首都カラカス大都市圏にあるチャカオ市で起こった。この日はベネズエラの独立戦争勝利から200周年を祝う「若者の日」で、カラカス大都市圏では、反マドゥーロ派が各地で政府に対する抗議行動を行うあいだ、親政府派が若者の日を祝う集会を行なっていた。

惨事の発端は、学生を中心とした反マドゥーロ派の団体がカラボボ公園から帰ろうとした際、武装した親政府派の団体が約100人になっていたデモ隊と対立した。

この対立は3人が死亡する惨事となった。1人はフアン・モントーヤさんで、同氏は親チャベス派団体「1月23日」のリーダーの一人だった。また、反政府派学生のバッシル・ダ・コスタさんとロベルト・レッドマンさんの2人も死亡した。3人はいずれも銃弾を浴びて死亡した。当日は66人が負傷し、逮捕者も69人出た。

ベネズエラ政府はモントーヤ氏の死に追悼の意を表し、学生たちの集団を「ファシストだ」と強く批判した。そして、この反対運動の先導者として、チャカオ市の元市長だったレオポルド・ロペス氏ら、計3人を指名手配した。

ロペス氏は反チャベス派の中でも過激派として知られ、12年10月にチャベス氏が野党連合の民主連合会議(MUD)代表のエンリケ・カプリレス氏を破った時の大統領選にも、第3勢力として立候補していた。近年は集会や抗議運動を積極的に行い、反マドゥーロ運動を高めていた。ロペス氏は現在逃走中で、16日の家宅捜査後に、18日のデモ後に自首すると通達した。

一方、カプリレス氏は今回の反マドゥーロ派の行動に対し「この国にもいつか変化は訪れるが、今は冷静であるべきだ」と、反対派に平静さを保つようを訴えた。だが、MUDは14日、逮捕された69人の学生の釈放と、過激な親チャベス派の武装解除を訴えた。

昨年3月に逝去したチャベス前大統領の命を受ける形で、昨年4月の選挙でカプリレス氏に僅かの差で勝利し大統領に就任したマドゥーロ氏だが、以来、ベネズエラ内の混乱は続いている。

特に問題となっているのは経済状況で、インフレは昨年12月までの時点で56%に達しているが、現政権はそれに対する対策として、11月に議会での審議を経ずに大統領権限で政策が打ち出せる「授権法」を1年限定で成立させた。

また、チャベス政権時代から反政府派だった放送局を身売りに追い込んだり、野党側から選出された知事の州には、与党の人物に重要な職務を与えて送り込み、州政府に干渉を行なうなど、独裁化を強めていた。この他、治安の悪化や食糧不足も問題となっている。