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6千万人が給水制限受ける=猛暑、旱魃、降雨不足で

ニッケイ新聞 2014年2月18日

「過去20年で、こんなに深刻な状況はなかった」―。給水会社の関係者は、ここ最近の渇水状態をこう語る。記録的猛暑、降雨量の不足、水の消費量増加で、北東部では旱魃などの異常事態が続き、14日現在、南東部や北東部を中心に全国11州142市で給水制限、47市では蛇口から全く水が出ない断水に陥り、給水車が水を配給している状態だと15日付フォーリャ紙が報じた。

給水制限、断水被害を受けているのはそれぞれ6千万人、41万人に上り、さらに30市で今後その可能性がある。北東部では過去50年で最も長く旱魃が続き、アラゴアス、セアラ、バイーア州の72市の給水制限は一昨年から続いている。

聖、パラナ州ではそれぞれ18、4市が給水制限を受けている。

ブラジル人が毎日使う水の量の平均は一人当たり150リットルだが、これが夏になると15~20%増える。しかし今年の夏は、記録的猛暑で30%増ともいわれている。

サンパウロ州カンタレイラ水系は、昨年12月から今年1月にかけ、84年前に始まった観測史上最低の水位を記録した。このまま数年水位低下が続けば、サンパウロ市内では60%、カンピーナス市では90%の家庭で蛇口から水が出ない状態に陥ると指摘されている。

17日付エスタード紙によれば、この渇水は10年前から指摘されていたものの、政府による対策が遅れ、今年の猛暑で悪化するという事態に陥ったという。

2004年のサンパウロ州水道公社(Sabesp)への事業委託書には、10年間カンタレイラの水を使用することを踏まえ、「今後30カ月で同水系への依存を軽減するための対策を検討する」と、危機的状況を指摘する条項が含まれていた。

その2年後、州政府と電力水道部(DAEE)に計画書が提出されたが、不十分と考えた州政府自らが対策を練ることが決まり、今年10月に行政計画書が完成した。

それによれば、カンタレイラ水系から水の供給を受けている大都市圏の人口(サンパウロ市やカンピーナス市を含む)は3千万人から3700万人に増え、1秒当たりの水の消費量は22万3千リットルから28万3千リットルに膨れ上がる。消費量は毎秒6万リットル増えることになるが、カンタレイラの供給量は3万6千リットルで、カンタレイラ二つ分の水の供給を増やす必要がある。

この需要に対応するため、計画書では今後新たな貯水池や供給システムに40~100億レを投資する必要があるとし、カンタレイラ水系からの供給以外に20の代替案を示している。