【らぷらた報知18日付け】秋篠宮・妃殿下御夫妻は去る1月30日、カサ・ロサーダ(大統領府)にクリスティーナ・フェルナンデス大統領を表敬訪問され、同夜、公式歓迎行事としてアルゼンチン政府主催の晩餐会がアマド・ブードゥ主宰の下にサンマルティン宮殿(外務省)で行われた事は既報の通り。これに就いてクラリン紙2月4日号は「日本に対する敬意と儀礼を欠いた不理解な外交」(UNINCOMPRENSIBL E DESPLANTE DIPLOMATICO A JAPON)と題するロベルトガルシア・モリタン元外務次官の論文を載せている。その内容(要約)を紹介すると次の通りである。
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今年は日亜移民協定締結を記念し、対亜友好の絆を示す行為として皇室ご出身の代表を派遣された。この移民協定によって建設的にして進取の気性に富む日系社会が生まれ、アルゼンチンの発展に貢献した。
1908年に定着した沖縄県人家族を嚆矢(コウシ)として、1917年におけるミシオネス植民を経て、現在では日系アルゼンチン人の数は4万を超えており、重要な日系社会を持つという点でアルゼンチンは、ラテンアメリカにおいて、ブラジル、ペルーに次いで第3位を占めている。
この一事を以ってしても、今回の3日間に亘る皇太子ご夫妻の公式訪問は重要な意味を持つものであった。それにも拘らず、日本の歴史的象徴である皇室の代表に対するクリスティーナ大統領の応対は、プロトコラル(儀礼)以上に出ない、冴えないものであった。
今回、日本を代表して訪亜された秋篠宮殿下は、現天皇陛下の御次男に当る方であるが、カサ・ロサーダにおけるクリスティーナ大統領との会見は僅か30分という呆気ないものであり、同夜、サンマルティン宮殿で催された歓迎宴もアマド・ブードゥ副大統領に任せ、クリスティーナは欠席という礼を欠いたそれであった。
昨年9月国際オリンピック大会東京開催の件でブエノスアイレスを訪れた安倍首相に対する対応もそうであった。
国内総生産5兆ドル以上、通商バランス100億ドルである世界第3位の経済大国にして、アルゼンチンに対する将来の投資が期待される日本。それに対するクリスティーナ政権の不透明な姿勢は、特に注意を呼ぶものである。
アルゼンチンと日本の友好関係は、日露戦争当時における戦艦リバダビアとモレーノ(日進と春日)の譲渡、第二次世界大戦で敗北し食糧難に苦しむ日本に対する船舶3隻分の贈与(エバペロンによる)などを通じて知られる伝統的なものがあった。それがクリスティーナの時代になってから冷たいものとなりつつあるのは不可解である。日亜の外交関係をいつの日か積極化することを待望する。
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以上の如くであるが今回の秋篠宮殿下・妃殿下のご訪亜に対するクリスティーナ大統領の対応は今までの歴代政権とは異なった、パッとしないものを記者も感じさせられたが、モリタン元外務次官の文を読んで、記者の印象が間違っていなかったとの感を深くした次第である。クリスティーナ大統領時代になってから「アルゼンチンの外交は最低になった」との批判が聞かれるが、今回の場合もそれを証明しているといったら〃失礼〃にあたるだろうか?