ブラジルの映画興行記録をうち立てた「トロッパ・デ・エリッチ(日本では「エリート・スクワッド ブラジル特攻部隊BOPE」の名でDVD発売)」シリーズのジョゼ・パジーリャ監督のハリウッド・デビュー作「ロボコップ」が、21日からブラジルで公開される。
この「ロボコップ」は、ロボットの刑事が主人公で1987年に公開されたSFアクション映画のリメイクだ。オリジナルは世界的に大ヒットし、シリーズ第三弾まで製作された人気作だが、パジーリャは今作の製作にあたり「ファンのことはあえて考えずに、一から作ることを考えた」という。ただ同時に、自身も20歳頃にオリジナルの「ロボコップ」の大ファンだったということもあり、「原作の要素は極力踏襲したつもりだ」とも語る。パジーリャによると、オリジナル版の脚本スタッフからこの新作を誉めてもらっているという。
気になる作風だが、オリジナルに比べ社会的、道徳的な要素が強まり、オリジナルより暗く、洗練されたとの評価となっている。
また、ハリウッドでの製作については、ブラジルでは考えられない莫大な予算のもとで製作したが、ブラジルでの映画製作と変わらない姿勢で臨んだという。撮影監督、編集者、音楽担当は「トロッパ~」と同じブラジル人スタッフを起用している。「撮影現場でもポルトガル語をよく使った。本番の時、「ヴァーモス・グラヴァール(さあ撮るぞ)」って叫んだら、役者やスタッフにきょとんとされたよ」とパジーリャは笑いながら語る。
また、パジーリャの仕事ぶりは役者陣からも好評を得ている。ベテラン俳優のマイケル・キートンは「良い意味で普通のことをやらない人で、一緒に仕事をしてみたくなった」とパジーリャを賞し、主役をつとめたヨエル・キナマンも「最初はこの仕事を断ろうとも思ったが、『トロッパ~』を見て、その社会的視点が気にいった。彼はいつも独自の視点を持っているし、驚いたことに俳優としての僕のこともよく知っているんだ」と語っている。
パジーリャ版の「ロボコップ」は、アメリカでは1週間前の14日に既に公開され、2100万ドルの興行成績で、「LEGOムーヴィー」「アバウト・ラスト・ナイト」に続く第3位にランクインした。同国の映画批評家やマニアの意見を総合したサイト「ロッテントマトーズ」の評価では、パジーリャ版「ロボコップ」に「良い作品」との評価を下したのは49%で、批評は「まずまず」と言ったところだ。
この作品の評価は、「大ヒット作のリメイクとしては物足りない」という意見と、「ハリウッド一作目としてはよくやった」との意見が半々に分かれている。幸いにして、14日に公開がはじまったアメリカ以外の国では15カ国で既に興行1位を記録し、7千万ドルを記録した。
数字的には続編製作も夢ではないが、パジーリャは「続編を全く考えてなかったから、話が続くような終わり方をしていない」と語っている。
なお、同映画の日本での公開は3月14日となっている。