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基礎的財政収支目標は1.9%=440億レの支出削減=それでも市場は慎重な構え=GDPも2・5%に下方修正

ニッケイ新聞 2014年2月22日

連邦政府は20日、14年の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字目標を昨年と同じ、国内総生産(GDP)の1・9%にあたる990億レアルとすることを決め、目標実現のために連邦予算を440億レアル切り詰めるとの発表を行なった。21日付伯字紙が報じている。

PBの黒字990億レアルの内訳は、GDPの1・55%にあたる808億レアルが連邦政府、GDPの0・35%にあたる182億レアルが州や市によるものとなっている。

この目標実現のために、連邦政府は総額で440億レアルの財政支出を切り詰める。この切り詰めのため、保健省、教育省、科学技術省、社会開発省以外の省が支出削減を余儀なくされることとなった。

このPB1・9%の黒字目標という数字について、ギド・マンテガ財務相は「この数字はきわめて現実的な数字」と語り「市場にもあらゆる社会にも受け入れられるものだ」と語った。

この政府からの発表を受け、20日はレアルに対するドル価が0・75%下がり、先物取引の利子も下がるなどの反応があった。

だが、市場はこの数字に対し警戒心を抱いている。政府によるPB黒字1・9%という目標は、年平均で3%を超えていたルーラ政権時(03~10年)に比べるとかなり低く、1998年以来最低の数字だが、この1・9%でさえ、市場はかなり厳しいものと見ている。

中央銀行(BC)は今年の初頭、14年の基礎収支目標を1・4%が妥当(後に1・5%に上方修正)との見方を示していた。

Jサフラ銀行の経済アナリストのカルロス・カヴァル氏は、今回の政府目標に対し「妥当」という見解を示しながらも、火力発電への出費が抑えられるかどうかに疑問を抱いている。政府は今年の火力発電への支出予定額として90億レアルを見込んでいるが、全国的な水不足で水力発電の絶対量が不安視される状況下、市場では火力発電の多用に伴う出費の増加は240億レアルに上ると予想している。

今回のPBの黒字目標設定に関しては、政府内でも意見が分かれていた。先週、政府内ではPBの黒字目標を1・8~1・9%に決めようとしていたが、マンテガ財相は、ブラジルの世界市場における格付けが落ちるのを防ぐために、黒字目標を1千億レアル以上(GDPの2・1~2・2%)とすべきだと主張していた。この議論が長引いてしまったために、同財相は22~23日にオーストリアで開催される20カ国・地域(G20)財務相、中央銀行総裁会議への出席を取りやめなければならなかった。

また、これにあわせて、14年のGDP成長目標も、当初の3・8%から2・5%に下方修正されたが、市場の予想は1・8%となっている。