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強制立ち退きで再び抗争=今度はサンパウロ市東部のアパート=MCMVで不正な売買?

ニッケイ新聞 2014年2月22日

サンパウロ市東部イタケーラで20日、政府の持ち家政策〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(MCMV)〃の一環として建てられたアパートに不法侵入していた住民の強制立ち退きが行われ、住民と警官隊が対峙。抗争では少なくとも22人が怪我をし、数百戸のアパートが破壊行為の被害に遭ったと21日付伯字紙が報じた。

抗争が起きたのは、13年7月末に不法侵入が起き、ドミンゴス・ルビノ街とアモール・デ・インディオ街に面する集合住宅〃レジデンシアル・カラグアタトゥーバ〃だ。同集合住宅はMCMVの一環で建てられ、月収1600レアル未満の世帯用のアパートが、五つのブロックで48棟、計940戸ある。

不法侵入は、2010年に同市東部のパンタナル地区で起きた洪水で住居を失い、転居のために登録していた低所得者世帯を対象とした抽選を行う数週間前に起きた。

裁判所の立ち退き命令後、17~19日の3日間、平和裏に退去するための交渉が試みられたが、交渉はまとまらず、20日の強制立ち退きとなった。

集合住宅に住んでいた住民約3千人は未明の内に周辺道路にバリケードを築いたりして警官隊の侵入阻止を図り、一部住民が連邦貯蓄銀行によって用意されたトラックに荷物を積み込んだりし始めてからも、警官隊に投石するなどして抵抗。扉や窓、トイレの流しや便座を壊し、上から投げつける姿も見られた。

住民達の抵抗や破壊行動は夜まで続き、数百戸のアパートで扉や窓などが壊されるなどの被害が出た。また、マットレスなどが燃やされ、火災を起こしたアパートが少なくとも12軒あり、少なくとも住民22人と警官2人が負傷したという。

立ち退き作業のために派遣された警官は120人で、バリケードに火をかけたり投石したりする住民にはゴム弾や催涙ガス弾を使用。午後2時頃に敷地内に入ったが住民の抵抗が続き、同3時半頃には突撃部隊も投入された。住民らは午後5時頃、ヘリコプターが爆弾を投下したと言うが、警察側は否定している。

住民の中には鍵を受け取るために4800~1万レアルを払ったと供述している人もおり、州検察局は、MCMVの一環であるアパートを不正に売買していた人物がいる可能性があるとして捜査を始めた。不法侵入者の中には2005年にMCMVに登録して順番待ちだったという人もおり、二重のリストが作成されていた可能性も高い。

サンパウロ市には住む家がない家族が16万世帯おり、13年には90のファヴェーラが出来た。ハダジ市長は低所得者向けの集合住宅建設用地取得のための書類81件に署名したが、需要の高さに追いつけないのが実情だ。