リオデジャネイロ市のエドゥアルド・パエス市長が18日、「グラフィティ・リオ」と呼ばれる市条例を発表し、19日付官報に掲載した。これは、ニューヨークなどの大都会で始まったスプレー缶や噴射機を使ったインクペイントの「グラフィティ(ポルトガル語ではグラフィッテ)」を正式に芸術と認めたものだ。
同条例の発効で、グラフィティは単なる落書きではなく、芸術とみなされるようになり、3月27日が「グラフィティの日」に制定される。この日は、1987年3月27日に亡くなったブラジルのグラフィティの第一人者のアレックス・バラウリ氏への顕彰の意味で選ばれており、サンパウロ市でも「グラフィティの日」とされている。
リオデジャネイロ市では、「カリオッカ・グラフィティ審議会」の創設、ウェブサイト「ストリート・アルテ・リオ(StreetArtRio)」への支援など、具体的な行動も起きる見込みだ。
パエス市長が発表した市条例は芸術家達との共同作業で制定されたもので、行政側が具体的な文書を発表した事で、グラフィティが市民権を得ると共に、より広い支援を受けられるようになると考えられている。
サンパウロ市の経済の中心ともいえるパウリスタ大通りなどには、高層ビルの壁面を使ったグラフィティも見られるお国柄だけに、いまさらという感じもなくはないが、昨年12月に、サンパウロ市在住で世界的にも名前が知られている双子のグラフィテイロ、グスターヴォ&オターヴィオ・パンドウフォ氏が、ラゴア地区レボウサスのトンネルの出口に描いた絵が、清掃会社の職員に消されてしまう事件も起きたため、条例発効が急がれた。
パエス市長による条例発効の発表と同時に、リオ市の地下鉄2号線の通路約40キロに絵を描く計画(GaleRio)も明らかにされており、リオ市でも急成長しているグラフィティが日の目を見る機会が増える。リオ市でも著名なグラフィテイロのマルセロ・メンチ氏は、「現代的な表現としてのグラフィティは主な市街地では一様に成長しており、新しい芸術家も育っている。合法的に描ける環境があればより多くの作品が生まれてくるだろう」という。
「グラフィティは今や、『道の芸術』として描かれるだけではなく、ギャラリーにも進出。芸術家達の価値もより高い評価を得ている」というのはEixoRio研究所所長のマルセロ・ドゥゲッツ氏だ。高層ビルの出現で壁がキャンパスの一つとなるなど、社会情勢も変化する中、社会を映し出す窓としてのグラフィティがより大きく羽ばたこうとしている。