世界20位までの経済大国が集まるG20財務相・中央銀行総裁会議がオーストラリアのシドニーで22~23日に開催され、14~18年の国内総生産(GDP)を、国際通貨基金(IMF)の直近の見通しよりも2%以上押し上げ、全体で2兆ドル以上の経済成長を目標とするとの共同声明発表後にその幕を閉じたと24日付伯字紙が報じた。
今回の会議で採択された共同声明は、ブラジルのインフラ拡充などを含むIMFが提出した案が土台となっており、世界経済の2%成長という目標達成のため、11月のG20首脳会議までに各国の経済成長策を持ち寄る事も確認された。
今回は、米国の量的緩和政策の変更で通貨価値が急落した新興国などからの不満が噴出した会議でもあった。ここ数週間で大幅に通貨価値が下落した通貨を持つ新興国(ブラジルやトルコ、インド、インドネシア、南アフリカ)は〃5大脆弱国〃と呼ばれるようになっていた。
「米国の経済政策の影響が外国にも及ぶ事を考慮してほしい」との新興国からの不満の声を受け、世界全体を見通した上で付随的な影響が出ないよう配慮するとの米国の約束を引き出した。
だが、同会議にも出席したトンビニブラジル中銀総裁は、米国の政策変更はマイナス面だけではないとし、ドル高レアル安はブラジル製品の国外価格引き下げと外国製品の国内価格引き上げに繋がり、貿易収支や経常収支の正常化の一助となると肯定的に評価した。
ブラジルはここ数カ月間、新興国で起きている信頼感の揺らぎに上手く対応した国の一つで、経済基本金利の引き上げや変動為替制度、3750億ドルの外貨準備高、先週発表された連邦政府の予算削減は、国際市場からも好意的に評価されたと同総裁は考えている。
他方、G20の会議と並行して欧州に飛んだジウマ大統領は、23日にブリュッセルに到着後、ブラジルの企業家らとの夕食会に出席した。24日には、ブラジルが農業や工業に対する保護政策を採っていると批判し、世界貿易機関(WTO)に提訴した欧州連合(EU)との間の緊張を取り除くため、EU首脳と会合を行う事になっているが、緊張緩和は困難との見方も出ている。
ジウマ大統領はメルコスルとEUとの貿易自由化交渉の会合にも出席する予定で、全国工業連合のロブソン・アンドラーデ氏は、「大統領はメルコスルとEUの自由化交渉には困難な点が残っているが、最終的な合意締結は近いと見ている」と発言している。