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Sアントニオの発電停止=マデイラ川増水で危険増し

ニッケイ新聞 2014年2月27日

 【既報関連】ロンドニア州を流れるマデイラ川の記録的な増水を受け、全国電力システム運営機構(ONS)がサントアントニオ水力発電所の運転停止を決めた。

 26日付エスタード紙によると、マデイラ川の増水は止むところを知らず、建設途上でいまだに脆弱な部分が残る同発電所では、先週の内に14のタービン中、11機の運転を停止していたが、その後も増水が続いて事故などが起きる危険性が高まったため、全面的な運転停止に踏み切った。

 現在のサントアントニオの貯水ダムの水位は国家水資源庁(ANA)が決めた規定を超えており、同じマデイラ川にあるジラウ発電所が、安全確保のためにサントアントニオの水門を開くよう要請していた。

 発電中は貯水ダムの放水量が増えるため、サントアントニオ発電所の運転停止は、ポルト・ヴェーリョなどでの洪水被害がより深刻化しないための配慮でもある。

 マデイラ川の水位は24日現在、1997年の観測開始以来、最高となる18・43メートルに達しており、アクレ州に続く国道が通行不能となった事で陸の孤島と化したアクレ州には、軍用機による食料品の輸送などが行われている。

 サントアントニオ発電所の運転が停止し、ジラウ発電所も運転を縮小すれば北部での発電量が低下し、南東部と南部の水力発電所の発電量を上げる必要が生じるが、両地域は少雨のため、貯水ダムの水位が低下中で、専門家の間では電力確保に対する不安が高まっているという。