ニッケイ新聞 2014年2月27日
有数の海苔の産地・兵庫県が、輸出に向けて本腰を入れ始めた。コンビニおにぎりで使われる、パリッと歯切れのよい海苔の多くは同県で取れたもの。試食してみたが、東洋街でよく売っているような噛み切れない海苔とは一味違う。コラム子の母県なので磯の香りもどこか懐かしい。あの便利なおにぎり用フィルムも当地上陸かと思うと、些細なことながら楽しみだ▼JF兵庫漁連の調査によれば、当地市場に流通する海苔の95%は中国産、5%は韓国産とか。中国は年間40億枚の生産能力があるが(日本は90億枚)、スープに入れて飲む習慣しかなく、余っていたらしい。だから日本移民がを食べる素地を作ったブラジル市場に、中国で消費しきれない海苔を送り込んだそう▼その経緯を「中国が輸出してくれたから、これだけブラジルで海苔が食べられるようになった」と、企業診断士の中野正也さんは肯定的に解釈する。かつて日本産は国内で全て消費されて輸出余力がなかったが、現在はようやく当地進出を狙う体力が整ってきたという。寿司は日本食の代表格であり、海苔はそれに欠かせない食材だ。まずは無ければ話にならない▼一方で、海苔を筆頭に〃海賊版〃日本食材が店頭をにぎわせている状況に、突々淳参事は「皆が日本産と思って中国産を食べているのが悔しい。日本の海苔はやっぱりいいねと言ってもらいたい」と歯がゆそう。〃ホンモノ〃にこだわる日本としては、一言申したいところだろう▼現地化で裾野を広げ、日本食店数は600軒を超えたとも言われるサンパウロ市。本場の海苔で、寿司がもう一段向上する日も近い? (阿)