いよいよ6月12日の開幕試合を目前に控えたW杯――日本代表は14日にコート・ジボワール(レシフェ会場)、19日にギリシャ(ナタル)、24日にコロンビア(クイアバ)と対戦する。かつてJリークや日本代表にブラジル人選手は欠かせない〃助っ人〃だった。いわばサッカーを通して兄弟のような関係にある日伯だけに、当地開催のW杯を一つの機会として、両側を良く知るブラジル人元選手に、今大会への期待やエール(応援)、アドバイスを聞いてみた(酒井大二郎記者)。
サンパウロ州選手権1部の第10節となる23日晩、ボタフォゴ・リベイロン・プレットは、それまで今期連続不敗を誇った絶好調の強豪パルメイラスを3対1で見事に破った。その監督はワギネル・ロペス、いや〃青い目のサムライ〃元日本代表の呂比須ワグナー(45)と言ったほうが、なじみが良い。
「ベスト4を期待。いや、それ以上も」。誰よりも呂比須の日本代表への期待は大きい。15年間に渡ってJFL、Jリーグで活躍し、帰化選手として日本代表の1998年フランスW杯初出場に大きく貢献した彼は、「日本とブラジルは兄弟国、家族だから、ここでは皆日本の味方。安心して、ベストを尽くして」と第2の〃母国〃にエールを送る。
87年、18歳の時に日産自動車サッカー部(現横浜Fマリノス)で日本でのキャリアをスタートして以来、本田技研サッカー部、ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)、名古屋グランパスなどで活躍した。97年に帰化し、日本代表として98年W杯本選を含む20試合に出場、5得点を記録した。
2002年にアビスパ福岡で現役を引退後、ブラジルで指導者に転身した。国内数クラブで実績を積み、12年にはJリーグ・ガンバ大阪のヘッドコーチを経験、2014年シーズンからはサンパウロ州1部リーグに参戦するボタフォゴRPで監督を務める。
日本での現役生活を終え、10年以上が経った現在も日本チームへの深い愛情は健在だ。「代表戦は欠かさずチェックしている。少しでもザックジャパンの役に立ちたいと思って、元コロンビア代表で今は地元に戻っている友人から情報を引き出している最中」と語る眼差しは真剣そのもの。
注目選手にはMF本田圭佑、遠藤保仁という前回大会での実績も持つ経験豊かな2選手に加え、昨年中盤以降から代表メンバーに定着したFW柿谷曜一朗を挙げた。「簡単な組じゃないけど日本なら突破できる。日本のサッカーが世界に認められるのは、僕の一番の夢」と期待を込め、グループ3試合は2勝1分けの首位通過という強気な予想を披露した。
日本代表がキャンプを張るサンパウロ州イトゥー市の「SPA SPOT RESORT」は、過去に率いた5チームのうち3つで使用した。「パウリスタFC時代には、ここで合宿してカップ戦を優勝した。他のチームの時も良い印象しかない、非常に運のあるところ。日本は良い選択をした」と親指を立てる。(つづく)