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妊婦に優しいブラジル社会

ニッケイ新聞 2014年3月6日

ブラジルの人々はこどもが大好き!ブラジルはこどもに優しい国!

というのは周りのお母さん方からよく聞いていました。ブラジルの人にとっては当たり前のことなのかもしれませんが、日本から来た私にとっては、ここまでとは!と驚く程こどもに優しい国、ブラジル。第一子妊娠生活をブラジルで送り、こどもに対してのみならず妊婦にも優しいその温かさに感動したこと数知れず。

最初にそう感じたのは、スターバックスでのこと。まだお腹の膨らみが外から見て分かるかどうかというくらいの頃でした。レジには、中年男性、そしてその次に私が並んでいました。すると、その紳士がふいに、
「前へどうぞ。」
と私に声をかけてくれるではありませんか!でも、当時は、まだブラジルならではの妊婦優先に慣れていなかったので、
「なぜこの人は前へ譲ってくれたんだろう?レディファースト?それとも具合悪そうにでも見えたのかな?」
とその瞬間は不思議に思ったのですが、後に妊婦だから譲ってくれたことに気付き、ありがたい様な申し訳ない様な。

そして、アイスクリーム屋さんで長蛇の列に並んでいた時も、店内から店員さんが出て来てくださり、
「レジへどうぞ。」
とのこと!緊急事態や病院、公共交通機関でもなく、私が勝手に好きで行列に並んでるアイスクリーム屋さんまで!行列に並んでいる周りの人に申し訳なくて遠慮しようかとも思ったのですが、皆当たり前のことといった感じで温かく、
「妊婦なんだから、どうぞ~!」
と通してくれ、日本人の私は恐縮の極み。

「妊婦優先駐車スペース」

「妊婦優先駐車スペース」

さらに極めつけは、スーパーの駐車スペース。他の優先スペースとともに、なんと妊婦優先スペースが!これには、驚きました。元気いっぱいの妊婦といえども、ある程度の運動は必要といえども、その優しさ、労りの心に感謝しきりの妊婦生活でした。出産後はまだ検診しか外出していないけれど、これまで至る所でブラジルの人々に愛されているこどもたちを見ていたので、もう少し大きくなったらブラジルでのお出かけが楽しみです。

プロフィール

竹内 香苗(たけうち かなえ)。愛知県出身のフリーアナウンサー。約10年間過ごしたTBSでは『はなまるマーケット』『朝ズバッ!』などに出演。夫のブラジル赴任に伴い12年に同局を退社し、ホリプロに所属。同年11月よりサンパウロ市に滞在している。