ニッケイ新聞 2014年3月11日
一大災難か克服の歴史か―。9日付エスタード紙によると、これは、2013年3月10日早朝にサンパウロ市パウリスタ大通りを自転車走行中の事故で右腕を失ったダヴィ・サントス・ソウザさん(22)の名刺に書かれている言葉だ。
事故当日、自転車で職場に向かっていたソウザさんは、一般車道と自転車専用レーンを区別するコーンを無視して入ってきた酔っ払い運転の車に右腕をもぎ取られた。
ソウザさんは病院に運ばれたが、運転手がソウザさんの右腕を川に投げ捨てたため、再生手術は不能となった。現在は全国産業職業訓練機関(SENAI)で学ぶソウザさんは、自宅からSENAIまで40分かけて自転車で通う。走行中は寄贈された義手は使わず、左手だけの運転だ。
この1年間で行なった講演は数度。自分自身の体験を語る事で、小さな出来事で投げやりになっている人達が大きな未来が待ち構えていると気づいてくれればと考えたソウザさんは、冒頭の言葉を記した名刺を作って講演活動にも力を入れる。