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アンシエタ神父が聖人に=没後417年目にして

ニッケイ新聞 2014年3月12日

 サンパウロ市誕生の立役者のひとりとしても知られているジョゼ・デ・アンシエタ神父(1534~97年)がこの4月に、その死から実に417年にして聖人となることとなりそうだ。9日付フォーリャ紙が報じている。

 1534年にスペインで生まれたアンシエタ神父は、53年にポルトガルのイエズス会宣教団の1人として来伯し、布教につとめた。神父はチエテ川沿いのマール山脈に布教の活動拠点を置き、1554年1月25日にはじめてのミサを司式。この日はサンパウロ市誕生の記念日とされている。

 アンシエタ神父は先住民の言語であるトゥピ語を流暢に話したため、先住民の間の布教は平和裏に進み、その布教範囲はリオやエスピリトサント州、バイーア州にまで広がった。同神父の功績は生前から高く評価され、同神父を聖人にしようとする動きは亡くなった年からはじまった。

 だが、列聖への道は長かった。「聖人」と認められるには、最低二つの「奇跡」の証拠が必要だが、アンシエタ神父には証拠が残っていないからだ。ブラジルのカトリック教会は同神父が少なくとも三つの奇跡を起こしたと主張しているが、科学的に説明できない現象だと証明する医師による検査が不足しており、なかなか認められなかった。

 聖人となるにはそれ以前に福者になっていることも必要だ。アンシエタ神父は1980年にヨハネ・パウロ2世により福者になったが、この列福は、彼の死後も数多くの奇跡が報告されており、信奉者数も多いことなどを示した結果、「奇跡なし」で行なわれた。

 アンシエタ神父の列聖は、フランシスコ法王が「奇跡」に関する規定へのこだわりを捨てたことで実現する。同法王はイエズス会からの初の法王で、昨年12月に16世紀のフランスのイエズス会宣教師、ピエール・ファーヴル神父にも奇跡なしの列聖を実施した。4月に列聖される法王ヨハネ23世も実証された奇跡は一度だけだった。