国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ブラッター会長は11日、同会長とジウマ大統領が6月12日のワールドカップ開会式で演説を行なわないとの意向を明らかにした。12日付伯字紙が報じている。
これはブラッター会長がドイツ通信社に対して行なった発言によるもので、同会長はそこで「私は予言者ではないのでW杯では何が起こるかわからない。抗議運動の類は沈静化するものと確信している」とし、「開会式は演説なしで行なおうと思っている」と語った。この決定はFIFAが一方的に下したもので、ジウマ大統領には何の相談も連絡もなかった。
FIFA側は「演説の廃止は形式的なもので、観客からの野次を避けるためのものではない」というが、昨年6月15日にブラジリアのマネ・ガリンシャ・スタジアムで行われたコンフェデ杯の開会式では、ジウマ大統領、ブラッター会長共々観客から野次を浴びた。それに対し、同会長は演説の途中で観客に「あなたたちに敬意の念やフェア・プレイの精神はあるのか」と問いかけた。
昨年のコンフェデ杯は、マニフェスタソンの只中で行なわれたという背景があったが、W杯でFIFA会長や開催国の国家元首に野次が飛ぶことは決して珍しくない。現に、1994年の米国開催から2010年の南アフリカ大会にいたるまでの5大会ではいずれも、誰かが野次の対象とされる光景が見られた。ブラッター会長自身も、2002年の日韓W杯開会式で韓国の観客から野次を飛ばされている。
一方、連邦政府関係者が怖れているのは、野次を飛ばされることよりもジウマ大統領自身がスタジアムに姿を現さないことだという。コンフェデ杯決勝戦の際、ジウマ大統領は優勝杯を渡す役であったにもかかわらず姿を現さず、FIFAの反感を買っていた。
W杯=開会式の演説廃止か?=ブラッター会長が意向語る
ニッケイ新聞 2014年3月13日