サンパウロ市で13日夜、今年3回目のワールドカップに反対する抗議行動が行われ、約1500人が参加したが、参加者を上回る数の警官が投入され、大きな混乱もなく終わったと14日付伯字紙が報じた。
1月25日、2月22日に次ぐW杯反対のデモ行進は、13日午後7時15分頃、市西部のラルゴ・ダ・バタータを基点として始まった。参加者達が集合し始めたのは午後6時頃で、ブリガデイロ・ファリア・リーマ大通りとレボウサス大通りを経てパウリスタ大通りに入った人々は、ヴェルゲイロ街を下り、セー広場に至った後、午後11時頃に解散した。
フェイスブックなどで呼びかけられたデモ行進参加者は、第1回目とほぼ同数の約1500人だが、決定的な違いは1700人とも2300人ともいわれる警官が投入された事だ。警官はデモ隊の両側を二重、三重に囲んでデモ隊を隔離。バイクでデモ隊を先導し、銀行やガソリンスタンド周辺の警備も強化した上、ヘリコプターも上空を旋回した。2月の抗議行動で初めて導入された武術の達人らによる忍者部隊は100人から200人に増員されたが、今回は出番がなかった。
今回の抗議行動は、国民が享受すべき権利が保障されないままでW杯を開催する事に反対する運動の一環で、推定総額110億ドルともいわれる巨額のW杯開催費を公共交通機関整備事業などの公共サービスの向上に充てるべきだと訴えた。
デモ参加者は「W杯反対」「大衆衛生フォーラム」「ウニアフロ」「サイバーアチビスタ」などのグループで、「無賃乗車運動」のメンバーも加わった。参加者の一人が「前回や前々回のような警官の過剰反応を引き起こさない平和的抗議を」と語ったように、大きな混乱はなかった。
当日の破壊行動は、パウリスタ大通りでのブラジル銀行のガラス破壊と火炎瓶か手製爆弾着火、地下鉄ファリア・リーマ駅構内で15歳の少年が金槌を振るった、地下鉄ブリガデイロ・ルイス・アントニオ駅のガラス壁にスプレーインクでアナキズムのマークを描き付けたなど散発的。262人が身柄を拘束された第2回目とは違い、身柄拘束者は金槌を所持していた少年やパチンコと鋼鉄球を所持していた男性など5人のみだった。
ブラジルではここ数カ月、W杯反対のデモが各地で起きており、2月には連邦政府がW杯警備に軍隊を配備する意向を表明。13日にはアルド・レベロ・スポーツ相が一連のデモを批判し、6月12日開幕のW杯の邪魔はさせないと明言した。