1950年代から演劇や映画、テレビで活躍した俳優のパウロ・グラールが13日、入院先のサンパウロ市の病院で癌のため死去した。81歳だった。14日付伯字紙が報じた。
1933年1月にサンパウロ州リベイロン・プレット生まれたグラールは、18歳の時にラジオのトゥピ局と契約し、芸能活動をはじめる。50年代は、新世代台頭で盛り上がっていた演劇の世界を中心に活躍し、ネルソン・ロドリゲスやアントゥヌス・フィーリョの作品で頭角を表す。当時既に人気女優だったニセッテ・ブルーノとの結婚はこの時期で、60年代までは演劇やテレビのエクセシオール局で夫婦共演の喜劇に頻繁に出演した。
1969年にグローボ局と契約、「ヴェロン・ヴェルメーリョ」で初のノヴェーラの主役をつとめ、注目度が高まった。また、74年には自身最大の代表作となる「オルケスタ・デ・セニョリータス」での女装演技で数々の賞を受賞した。
80年代以降はグローボ、バンデイランテス局のノヴェーラの主要俳優として、お茶の間におなじみの存在だった。代表作は「プルーマス・エ・パエテス」(80年)、「ジョゴ・ダ・ヴィーダ」(81年)、「ロダ・デ・フォゴ」(86年)など。特に有名なのは、93年の「ムリェーレス・デ・アレイア」での悪役や、「ザザー」(97年)でのウリセス役、高視聴率を記録した「エスペランサ」でのファリーナ役などだ。
妻ニセッテや子供3人も含めた俳優一家で、近年もノヴェーラではなじみの顔だったが、腎臓癌でサンパウロ市のサンジョゼ病院に入院していた。
グラールの死に際しては、テレビや演劇の関係者のみならず、ジウマ大統領やマルタ・スプリシー文化相も追悼文を寄せている。
パウロ・グラール死去=60年間一線で活躍の名優
ニッケイ新聞 2014年3月15日