ブラジル最大の石油採掘会社ペトロブラスで、会計監査委員会が経営審議委員会に負債を減らすよう要請するという異例の事態が起きたと15日付エスタード紙が報じた。
11日付本頁でも報じたように、米国の経済通信社ブルームバーグの最新データによると、ペトロブラスは「世界で最も資産価値の高い企業500傑」の121位。ここ12カ月間の株価総額は前年比34・4%落ち、株価総額が最も落ちた上位10社中のワースト2位に位置づけられた。
ペトロブラスの株価は下落傾向が続き、14日の株価は前日比2・18%下げた。株価下落は今月だけで6・54%で、今年の累積では24・08%に上る。
こういった事態を重く見た会計監査委員会は2月25日の委員会で、経営審議会に対して、このままの状態が続いて格付ランキングが下がれば、融資枠が減り、金利も高くなるとの忠告付きで負債削減要請を行った。
この要請は14日発表の議事録に記載されているが、同種の要請が公的文書に記載されるのは極めて稀で、会計監査委員会内の負債急増への懸念拡大が窺われる。2013年の負債額は利息や税金、減価償却分を引く前の収益(EBITDA)の3・5倍で、内部目標の2・5倍を上回った。
会計監査委員会最大の懸念は、収益が伸び悩む中でも投資を増やせと圧力がかかり、経営原則から外れた経営が行われている事だ。
ペトロブラスの減収や負債増は、政府のインフレ対策でガソリン価格はインフレ以下の調整だった上、国際価格高騰時も輸入した品を相場以下で販売させられた事、採掘用プラットホームの納品や起動開始の遅れ、生産量低下などが原因だ。
2月23日付エスタード紙によると、13年の岩塩層下油田からの採掘量は日産40万バレルに達したが、国内最大の採掘量を誇るカンポス油田では原油と共に大量の水が採掘されて生産性が落ち、岩塩層下の原油採掘量を上回る減産となっているという。
国内の採掘量の80%を占めるカンポス油田では、1バレルの原油採掘で1バレルの水が上がってきており、生産性低下が予想以上に深刻だ。水の大量採掘は、新油田開発のための投資の不足や油田の衰退、採掘量の調整などの運営方針が不適切なために原油採掘が適正速度を上回り、油田内に水が流入した事などが原因とされている。昨年8月の水採掘量は油採掘量を上回ってもいた。
同社ではここ2年間のカンポス油田の自然衰退は10%以下というが、HSBCは、ペトロブラスは12%の自然衰退を前提に事業計画を立てているが、カンポス油田は2011年と12年に19%、13年も16%衰退しているという。