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ABEUNI、30周年を祝う=学生が医療、教育を支援過去20万人を対象に活動

ニッケイ新聞 2014年3月18日
30周年を祝ってケーキカット

30周年を祝ってケーキカット

サンパウロ州の貧困地域、孤児院などで医療/教育ボランティア活動を行なう『サンパウロ大学生援護連盟』(ABEUNI、大橋栄児代表)が今年設立30周年を迎えるにあたり15日、北海道協会会館で記念式典を開催した。ボランティアの学生、関係者約300人が集まり、これまでの活動をふりかえり、今後の継続を誓った。

ABEUNIは、50年代から活動していた日系医学生を中心とした「ABENIBRA」(日伯援護協会の大学生支部)が前身。

日系人だけを対象とした無料健康相談会を行っていたが、「本当に困っている人はブラジル人に多い」との考えから、当地社会全般を活動対象とする新組織を84年に分離独立させたのがはじまりだ。

皆で記念撮影

皆で記念撮影

当初は、日系の医学生が中心だったが、現在は分野に限らず、学生もしくは学位取得者で活動に興味のある者は誰でも参加でき、約200人が活発に参加している。

主な活動は、数日間活動地でキャンプをしながら過ごすキャラバンと、一つの孤児院に毎週継続的に通う事業とがある。30年間で、10の継続事業の成果を残し、44カ所117の催しを実施し、2千人にのぼるボランティアが、20万人の人たちに対応してきた。

人々の生活向上が目的だが、活動を通じてボランティア自身が学び成長し、友情を育んできた。

式典では、協賛団体を代表し、小林パウ・ロインスチトゥートより小林ヴィットルさん、高野書店より高野泰樹(やすき)さん、協力団体として希望の家理事長の上村ジャイロさん、過去の代表者だった倉持メルシオさん、大橋代表がそれぞれ挨拶した。

高野さん(37、二世)は、父泰久さんがアベウニの前身時代から活動を応援していたことを明かし、さらには自身も協賛者であると同時に、20年ほど前から活動に関わる参加者でもあると語った。「活動を通して、引っ込み思案だといわれる日系学生たちが、挑戦や他者との協働を通して学び変身していく場」と話し、現在もキャラバンに参加し、後輩を激励している。

88~89年に代表を務めた倉持さんは、数十年前と今では、貧困地域の状況が大きく変わったことを挙げ、「状況に合わせて活動の内容を、再検討していくことが重要」と強調した。

最後に、新たに就任する役員20人が紹介され、新代表のイケド・セシリア・チエミさん(26)は「今後も事業の改善を目指して、さらには新しいことにも挑戦していきたい」と抱負を語り、これまでの役員も交えてABEUNI30歳のケーキのろうそくを全員で消した。

式典後は、カクテルパーティーが行われ、新旧ボランティアが親交を深め、会場に用意されたこれまでの活動を記録した写真や通信を見ながら歓談し、思い出話に花を咲かせていた。