【既報関連】サンパウロ州の「水瓶」カンタレイラ水系が枯渇してきている事を受け、アウキミンサンパウロ州知事が18日にジウマ大統領にパライバ・ド・スル川の水を同水系に引く許可を求めたと19日付伯字紙が報じた。
大サンパウロ市圏とカンピーナス地方に水を供給するカンタレイラ水系は3月1日から19日朝までに月間平均降水量の79%相当の145・8ミリの降雨を見たが、貯水池に流れ込む水は毎秒15・2立方メートルで月間平均の25・2%。一方、1~14日の平均取水量は毎秒21・9立方メートルで出超状態のため、19日朝の貯水量は14・7%と、史上最低記録を更新し続けている。
アウキミンサンパウロ州知事は同水系の水位が16%となった6日、サンパウロ州水道会社(Sabesp)の取水量の削減と、大サンパウロ市圏への給水にアウト・チエテ、グアラピランガの水の比率を増やす事などを発表したが、カンタレイラの水位低下は止まらない。
この事態を重く見たアウキミン知事は18日、ジウマ・ペナSabesp社長と共にブラジリアを訪問し、ジウマ大統領との会談の時を持った。この会談にはイザベラ・テイシェイラ環境相、国家水資源庁(ANA)の代表らも参加した。
サンパウロ州知事は会談で、サンパウロ州東部のヴァーレ・ド・パライバにあるイガラタ貯水池とカンタレイラ水系をつなぐ15キロの水路かトンネルを設営し、パライバ・ド・スル川の水をカンタレイラに引く許可を求めたという。
パライバ・ド・スル川からの取水は、5年以上前からサンパウロ州議会で話し合われてきた。サンパウロ州とミナス州、リオ州にまたがる同川は国の管轄で、取水にはANAの許可が必要だ。また、取水予定地の下流はリオ州1千万人とヴァーレ・ド・パライバ地方500万人の水の供給源でもあるため、同様の話が起きるたびに両地域から反対の声が上がっていたという。
だが今回はANAがサンパウロ州に好意的な姿勢を示しており、取水が許可される可能性は高い。その場合は毎秒5立方メートル程度となる見込みだが、10月の選挙で知事再選を狙うアウキミン知事には、何としても給水制限回避との意向が強い。
ジウマ大統領は21日に労働者党(PT)幹部と会合を開き、対応を検討する。この会合ではサンパウロ州での民主社会党(PSDB)の失政批判が出る事と、国としてはサンパウロ州知事の要請を受け入れる判断が下される事が予想される。これは、サンパウロ州での給水制限は食料価格の高騰やそれに伴うインフレ上昇、W杯前の印象の悪化といったマイナス要因を引き起こすと考えられているためで、サンパウロ州の水不足を解決するための英断を下したとの評価が大統領選に有利に働くとの皮算用もあるようだ。