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犯罪者らが道端で食事=職員ストで刑務所に入れず=司法命令で事態に変化か

ニッケイ新聞 2014年3月21日

9日から始まったサンパウロ州の刑務所職員のストのため、20日現在も、裁判がキャンセルされる、逮捕された犯罪者が刑務所に入れないなどの影響が続いている。

刑務所職員のストは、裁判や公聴会への収監者の搬送と、新しい収監者受け入れを含む収監者の移動を拒否するという方法で展開され、州内158の刑務所中150、職員数で見れば3万人の内2万8500人がストに参加している。賃上げや待遇改善といった要求はなかなか折り合わず、18日の州政府との交渉も決裂した。20日には職員組合が、スト中の職員はその場に止まるが、自分達は1年以上前から州政府との話し合いを求めていたのであり、一般市民の敵となるつもりはないとの談話を発表した。

ただし、収監者への食事の提供や日光浴、医療行為、人身保護令や身柄拘束期間終了などで退所する場合の手続きなどは通常通り行われている。

ストの影響で被告が裁判に出頭出来ないという事態が相次いでいる一例はサンパウロ市バラ・フンダにある裁判所(犯罪法廷と陪審裁判所)で、9日以降、約800件の裁判が中止となった。

新しい収監者受け入れ拒否の影響も大きく、20日も、サンロッケで逮捕され、朝5時半にソロカバの刑務所に移送された30人の収監予定者達が、7時から9時までトラックの中で待機。気分が悪くなった人も出めたため、警官が全員を刑務所前の道端に座らせ、昼食もそこで取らせた。午後4時までに入所許可が出なければサンロッケに連れ戻る予定だったが、夕刻になって市警が介入して鍵を受け取り、収監予定者を中に入れた。収監に当たっての種々の手続きは市警が行い、刑務所職員らは手出ししていないという。

ソロカバの刑務所は17日もサンロッケからの犯罪者の受け入れを拒否しており、1日中待たされたグループはサンロッケに送り返された。19日には、14日に行われた監査で、超満杯となっている(収容能力30人の場所に80人が入っている)事を確認した判事が、サンロッケからの収監者受け入れを禁ずる判決も下していた。

これはソロカバだけではなく、ジュンジアイでもピラカイアからバスで来た犯罪者22人が送り返されたりした。

これに対し、サンパウロ地裁は20日、新規収監者を含む移動拒否を禁じる判決を出した。これを受け、スト中の職員が20日昼前、約100人を乗せてきたトラックの受け入れを拒否したサンパウロ市東部のベレン刑務所では、司法命令遂行のために突撃隊が派遣され、新規収監者100人と共に強制的に刑務所内に入った。

また、カンピーナス地方でも、オルトランジアの刑務所に収容する犯罪者58人を移送する市警の車を軍警の突撃隊がエスコート。スト中の職員らは材木やコンクリートブロックでバリケードを作ったが、軍警らは難なく突破し、中に入った。オルトランジアではこの日、裁判を受けるべき日までに裁判が実現せず、90日間の身柄拘束期間が過ぎた容疑者が釈放される例も出ている。

パウリニア市でも20日午前11時頃、収監者2人を裁判に連れて行くために来た市警の車両6台の入場を職員らが阻止しようとしたが、軍警が派遣され、バリケードを取り除いたという。

一時的な身柄拘束期間は原則90日で、90日の延長が可能。ただし、重大な罪を犯した場合はこの期間を過ぎただけで釈放される事はない。