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ニッケイ新聞 2014年3月26日

 「NGOブラジル人労働者支援センター」の加藤仁紀理事長は、学生時代は海外移住研究会に所属、その後南米銀行に就職、退職してからは在日ブラジル人の支援活動を始めるなど当地に縁の深い人物。同団体のサイトにある加藤さんの挨拶によれば、貧しかった敗戦後の幼少時代、ブラジル日系社会から届いた配給物資にいたく感激したという。今のボランティア活動も、その恩返しのひとつとか。

 過去10年以上に渡って〃眠れる大国〃、ブラジルを撮影してきたフォト・ジャーナリスト田中克佳さんが、昨月『踊るブラジル―私たちの知らなかった本当の姿』(小学館、1575円)を刊行した。「サンバの奇跡」「緻密な搾取の構造」など多彩なテーマを取り上げながら、120点超の写真と文章でブラジルの真の姿に迫る。巻末にW杯開催地の地図もあるので、当地を訪れる知人へのプレゼントにもよさそう。

 寿司、天ぷら、焼きそばと当地に定着した日本食は数あれど、日本風のカレーは市民権を得ていない。どの飲食店も30レほどはするし、固形カレールーを買うにも15レ以上と少々高め。2011年には、金沢発のカレー専門店「ゴーゴーカレー」がサンパウロ市リベルダーデに進出したが、店舗は撤退。「エスパッソ和」にメニューを残すのみとなっている。ムケッカしかり、フェイジョアーダしかり、ご飯に汁物をかけるというスタイルに問題はないと思うのだが。そういえば、インド料理店も少なく、ブラジル人の味覚にあわせたのかスパイシーさも抑えたものばかり。答えはここらへんにありそうだ。