【既報関連】カンタレイラ水系の水位低下が続き、アウキミンサンパウロ州知事がパライバ・ド・スル川の水をカンタレイラ水系に引くという案を発表した事で起きた水紛争に、ヴィセンテ・アンドレウ国家水資源庁長官がサンパウロ州知事とリオ州知事の論争は何の解決にもならないと批判したと26日付エスタード紙が報じた。
3月の雨に期待して給水制限を延期してきたアウキミン知事が、パライバ・ド・スル川からの取水計画を発表したのは19日。サンパウロ州内ヴァーレ・ド・パライバのジャグアリ貯水池とカンタレイラ水系のアチバイニャ貯水池を繋ぎ、酷い干ばつ時はパライバ川から取水する(その逆もありうる)という計画は、同川下流に住む1100万人のリオ州民の反発を招いた。
これに対しリオ州のカブラル知事は21日、ジウマ大統領との会合で、「サンパウロ州知事は尊敬するが、水不足は同州政府が解決すべき問題でリオ州政府には関係ない」とした上、「(取水は)1滴たりとも認めない」「必要なら裁判に訴える」と断言している。
ジウマ大統領はW杯期間中の水の供給停止を恐れているが、両州の水紛争には直接関わらないよう配慮し、水資源庁に詳しい報告を求めた。
21日の時点での同庁はサンパウロ州からの詳細な計画案提出を待っている段階だったが、25日にはサンパウロ州議会での公聴会で「両知事の水を巡る論争に驚いているが、現在はプロジェクトへの建設的な意見を戦わせるべき時で、論争は何の解決にもならない」と明言。同庁長官は更に「サンパウロ州のプロジェクトは同庁の認証を必要としないが、同庁が取水量に制限を設ける可能性はある」と発言した。
カンタレイラ水系の水位低下は現在も続き、26日現在14・1%。また、アウト・チエテの水位は、カンタレイラ水系の給水地区の一部に水を供給し始めてからの85日間で8・6%ポイント下がり、3月としては過去10年で最低の37・8%になっている。
サンパウロ州水道会社(Sabesp)のパウロ・マサト理事は25日、カンタレイラからの給水地区での節水に協力しているのは中、低所得層が主で、中流の上以上の家庭の節水率は低いと発言した。
世界水の日の22日、専門家は大サンパウロ市圏での水不足の原因は天候だけではないと警告。11年の場合、大サンパウロ市圏では浄化された水の36%が、水漏れやホースを使って掃除するなどの理由で無駄使いされている。解決には水の再利用を含めた根本的な対策が不可欠だ。
なお、パライバ・ド・スル川からの取水計画は工事着工までに最大4カ月、工事には14カ月かかるとされ、カンタレイラの湖底の水で持ちこたえられるという4カ月以内の解決策には程遠い。