日本体育大学(東京)の野球部15人が、JICAの「短期グループ派遣ボランティア」として今月6日から29日まで滞伯している。20日まではドウラードスなどマット・グロッソ、南マット・グロッソ州各地を回り、22、23日にはサンパウロ市ボン・レチーロ球場でも交流戦、野球教室を開催した。
在聖総領事館の福嶌教輝総領事が昨年5月に麻州カセレスを訪れた際、地元文協から野球チーム派遣の依頼を受けたことがきっかけ。
JICA日系社会青年ボランティアとして、同州カンポ・グランデに派遣中で、同大卒の高丸博文さん(26、東京)も「私一人では日本式野球を体現できない。ノックの守備や全体練習を見せることで規律を教えられる」と、後方支援のためチーム派遣を要望していたことから、実現に繋がった。
22日午前10時からは歓迎セレモニーがあり、野球連盟ら関係者が出席。JICAの遠藤浩昭次長は、「野球を通して交流できるのはJICAとしても喜び。青少年育成や地域社会への好影響にも期待」と述べた。
ブラジル野球ソフトボール連盟の大塚ジョルジ会長から同大に感謝を綴った記念プレートが、同大からは野球ボール15ダースが贈られた。
直後にアニャンゲーラの野球チームと交流試合を行った。初回に打者一巡の猛攻で、大量8点を先制した日体大が15対7で勝利。好プレーには両ナインからも拍手が送られ、約200人の観客も温かく見守った。
現地の日程・移動面、予算などあらゆる調整を行ったのはブラジル中西部日伯協会の伊沢祐二会長(42、二世)。麻州野球ソフトボール連盟の会長も務める。「麻州での野球チーム派遣活動は初めて。地方都市も訪れてもらい、この貴重な機会に地元住民はみんな喜んでいた」と語った。
JICAボランティア班で調整役を担った長谷川辰雄班長も、「旅券、ビザなど事務的な手続きは手間取ったが、それ以外は全て伊沢さんのおかげで実現した」と感謝し、「来訪することが出来なかった地域からの要請もあり、今後も続けていければ」と話す。
在聖総領事館を代表し出席した坪井俊宣領事は、自身も現役で野球を楽しむ。「野球を通してマナーや礼儀を覚えることも出来るし、野球場は一つの集会場。交流する場としても野球は重要」と、今後の親睦活性化にも期待をかけた。
日体大野球部には日系社会青年ボランティアの経験もある黒木豪コーチ(28、宮崎)が帯同している。約3週間の滞在期間は野球と移動の繰り返しだけに、学生らの健康を案じつつも「毎年連れてきたいぐらい」と話す。
一行は翌日からイビウーナでも活動し、28日には在聖総領事公邸で懇談会も予定している。