元祖〃ブラジリアン・タウン〃群馬県大泉町に、ポ語通訳を置いた法律相談をする事務所が昨年11月に開設され、在日ブラジル人の間で反響を呼んでいる。日本でポ語の通訳を置いたサービスは全国的にも珍しい。同町に事務所を開いた弁護士法人「川目法律事務所」の代表弁護士・川目武彦さん(36、埼玉)が、視察のため初来伯した。
川目さんは「2年間は赤字の覚悟だった」と振り返る。それほどのリスクを冒してまで開設に至ったのは、村山俊明大泉町長から「法律事務所はあるが、外国人対応ができない」と聞き、発奮したからという。そして昨年11月、東京、千葉、埼玉に続く4カ所目の法律事務所が誕生した。
大泉町は外国人人口比率が14・8%と県内最多で、その多くが日系ブラジル人、ペルー人といわれる。
川目さんは同町でポ語通訳を置いて成功した歯医者がいるとの話からヒントを得て、毎土曜日に通訳をおいて無料相談を開始したところ、「ケーブルテレビやブラジル人向けの新聞、口コミで広がってすごい反響。他県からもスカイプで相談があって満員状態」となった。来月からは通訳を常駐させ対応を本格化するという。
今のところ相談内容で多いのは労働事件や交通事故だという。「事故後の処置がわからない、不当解雇されたなど、深刻な問題もけっこうあるが、泣き寝入りしている人が多い」と語る。同事務所では不動産、家事、労働、相続、交通事故、刑事事件など幅広い案件に経験があり、「困難な事件であることを理由に依頼を断りません」「貧困を理由として依頼を断ることはしません」をモットーとすることから、在日外国人に一肌脱ぐことにした。
川目さんは「日本では外国人に対する目が厳しくなっており、在日外国人が税金をちゃんと払っていないと怒る人もいる。でも、外国人の存在は欠かせないものになりつつあり、日本社会にもっと溶け込んでもらうために、一役買いたい」と熱意をこめて語った。
中国人やフィリピン人は一般に単身で訪日するのに対し、日系人は家族で移住するため、日本語を使う機会が少なく、孤立しやすいことも問題の深刻化に拍車をかけていると見ている。
今回来伯した目的の一つは、帰伯したブラジル人の支援や、将来的には企業進出の仲介役も目指して、連携できる当地の弁護士を探すこと。川目さんは「日本との架け橋になってくれるような意欲的な人がいれば、連絡をしてほしい」と話した。連絡先はEメール(takehiko.kawame@gmail.com)、事務所のサイトは(www.kawame-law-firm.jp)