ニッケイ新聞 2014年4月1日
「日本のストリートファッションをブラジル、リベルダーデにも広めたい!」
「日本のストリートファッションを世界に広めたい」と、米国ニューヨークを中心に活躍する柏原伸一さんが来伯し、先月27日にサンパウロ市サンタマルセリーナ大学にて講演会・ファッションショーを行った。ロリータファッションなどに身を包んだ多くの来場者が、日本のファッション事情などに耳を傾けた。国際交流基金主催。
柏原さんは日本の大手企業に勤めたのちNYに留学。2003年に「日本のファッションを世界に発信」をコンセプトしたブティック『マダムキラー(MADAME-KILLER NY INC.)』をオープンし、東京のストリートファッションを発信してきた。10年に同地でファッションショー〃Tokyo Fashion Festa NY〃を開催した。
ブラジル・サンパウロ市での開催は翌11年。「8年前に初めて来伯し、他の国にはない面白さに惹かれた。親近感、心地良さを感じ、何かしたいと思った」ことから、日本国外二つ目のショーの舞台に選んだ。
当時、日本は東日本大震災の影響でファッション業界も落ち込んでいた。そうした中、ブラジルからは継続的に連絡があり、それがさらに柏原さんの思いを強くした。
講演では、90年代から現在までの日本のファッションの変遷をスライドで写真と共に紹介。「バブル崩壊後、日本のファッション文化を牽引したのがコギャル」と説明、以前日本で大流行した〃ギャルファッション〃から、現在世界で大人気の日本人アーティスト、きゃりーぱみゅぱみゅまで、各スタイルの発生の背景などを解説した。聞いた事のある単語が出る度に、客席は沸き立った。
在ブラジルのカワイイ大使、松田明美さんがゲストで登場し、会場を盛り上げた。最近愛好者の増えてきたロリータファッションの女性達が多く見られ、質疑応答では非日系人が日本語で質問する場面もあった。
講演の後には柏原さん企画のファッションショーが行われ、日本の最先端の流行を紹介。モデルは大学の学生達と松田さんが務め、日本の制服を模倣してアレンジしたデザインや、ブラジルにはないような凝った素材やデザインの洋服が次々に登場し、会場内は大きな歓声や溜め息に包まれた。
柏原さんは「日本のファッションを受け入れてくれる土壌を感じるので、いつかブラジルにも自分の店を作りたい。気候的な問題や金銭的な問題はあるが、十分チャレンジする価値はあると思う」と、希望を語った。