ニッケイ新聞 2014年4月2日
6月12日に開催されるサッカーW杯の開会式会場となるサンパウロ市東部のアレーナ・コリンチャンス(通称イタケロン)で3月29日、座席増設作業中の作業員が約10メートルの高さから転落して死亡する事故が起き、サンパウロ州の雇用・労働地方監督局(SRTE)が31日に座席増設現場での作業停止を命じた。
犠牲者はアレーナ南側のゴール後ろの座席増設作業を行っていたファビオ・アミウトン・ダ・クルスさん(23)で、座席増設現場の床を張る作業中に落下。病院に運ばれたが死亡した。
増設作業担当のファスチ・エンジェニャリア社は、安全装置などは完備していたと釈明。1日付グローボ局サイトには、安全装置をつけたファビオさんを事故直前に撮影した写真も掲載された。
事故原因は市警が調査中だが、遺族達はファビオさんは同種の作業をするのに必要な訓練は受けていなかったと証言している。ファビオさんは大サンパウロ市圏ジアデマ出身で、30日に埋葬された。
イタケロン建設現場での死者は、昨年11月のクレーン車の事故での2人に次ぎ3人目だ。SRTEは座席増設作業には規定に反する項目があったとして、同種の事故を防ぐための保護壁の設置などを命じた。
開会式会場は6万席以上を有する事が条件で、イタケロンでは1万7600席分の座席増設作業が行われている。