ニッケイ新聞 2014年4月3日
3月の貿易収支は今年初の黒字を計上したが、第1四半期累計は、2013年第1四半期を上回る赤字となり、現行方式で統計を取り始めた1994年以来、最低の結果となったと2日付伯字紙が報じた。
1日に発表された3月の貿易収支は1億1200万ドルの黒字で、今年初の黒字を計上した。ただし、今年第1四半期の貿易収支は全て昨年の実績を下回り、昨年同期に計上した52億ドルの赤字額を17%上回る61億ドルの赤字を計上。史上最悪の記録となった。
3月の貿易収支黒字額は昨年同月の2億ドルを下回り、同月としては2001年以降最低の記録となった。これは、消費財の輸入増加と輸出の伸び悩みが原因だ。3月の輸出は総額176億2800万ドルで、1営業日当たりの額は昨年同月より4%少なかった。
3月の貿易収支が黒字で終わったのは、昨年同月比73・4%増の大豆と39・6%増の皮・皮革製品、4・5%増の豚生肉などのコモディティ輸出の伸張と、石油関連製品の輸入が24・5%減った事が大きい。ただし、同じコモディティでも、トウモロコシや棉、オレンジジュース、原油は各々、72・8%、38・3%、36・9%、20・4%の減額。加工品と半加工品の輸出も減じた。
一方、第1四半期の実績は、1営業日当たりの輸出額が昨年同期比4・1%減で、2・1%減に止まった輸入との差が61億ドルに広がった。それでも、石油関連製品の輸入超過額が昨年同期比12億6千万ドル減じ、他の品で生じた15億2千万ドルの輸入超過額の穴が少し縮小した。商工開発省担当者は、第1四半期の実績が史上最悪となったのは、国外の需要の減退とコモディティ価格の下落、アルゼンチンとの交易縮小が原因と説明している。
第1四半期の実績悪化を見て、市場では、今年の貿易収支はゼロ成長か赤字で終わる可能性ありとの見方も出始めた。
ゼロ成長と見ている例はローゼンベルギ・アソシアードスのラファエル・ビシタファ氏で、3月は通常、10億ドルの黒字を計上してきたとコメントしている。
また、ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト会長は、「今年の貿易収支は赤字で終わる可能性も出てきた」と発言。AEBは年頭、72億ドルの黒字との予想を立てていた。
他方、第1四半期の実績が自動車関連商品の交易を中心に昨年同期より輸出で14・4%、輸入も22・3%縮小し、僅か3億ドルの黒字となった対アルゼンチン貿易では、外貨流出に神経質になっている同国政府を刺激しない様、特別融資枠を設定。同融資で為替レートが最低90日間固定され、交易関係が改善されると見られている。
ブラジル国内に建設された製油所の負担分が未払いで、請求を諦めたブラジル政府への批判が出ている対ベネズエラ交易も、輸出が5・8%、輸入が8・5%縮小、史上最低の5億9900万ドルの黒字で終わった。これまでの対ベ国交易の黒字最低額は昨年第1四半期の6億1800万ドルだった。