ニッケイ新聞 2014年4月3日
サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)が「3月定例役員会」を27日に開き、昨年開院したばかりのサンミゲル・アルカンジョSUS病院の経営状態が思わしくないことなどが報告された。
菊地会長と毛利連副会長の報告によれば、市の要請に応え運営を引き継いだ救急診療所(Pronto Atendimento)の全経費は市が負担することになっているが、「昨月の経費約41万レ中、11万レの支払いが遅れている」という。市は毎月基本額30万レを支給し、超過分を後に補うシステムをとっているが、その超過分の支払いを渋っているようだ。
SUS病院の赤字30万レは想定範囲内だが、救急診療所の赤字も合わせると40万レを超すため、援協にとっても厳しい状況だ。
毛利副会長によれば、市側は「市が運営していた頃は27万レで済んだ。患者数が変わらないのになぜ経費が高くなるのか」との疑問をぶつけてきたという。
援協側は「医者も看護婦も人数を増やして24時間常駐させ、よりよいサービスを提供している。苦情がなくなったのがその証拠」と反証している。給与もサンパウロ市の相場より3~4割程度高くしないと人材が確保できないことも、経費がかさむ一因という。
今後、SUS病院の敷地内に救急診療所を新設する予定になっているが、市の支払いが滞っている現状を見ると、「本当に建設に踏み切って大丈夫なのか」との懸念も上がっている。
菊地会長は「割に合わないことにならないよう、痛みをわけあってやっていきたい」との考えを述べ、毛利副会長も「病院の経営が安定するには2、3年かかる」と根気よく事業を進める意向を見せている。
医療と福祉を切り離す目的で開設された新組織「日伯福祉援護協会」(Associacao Nipo-Brasileira de Assistencia Social – Enkyo)は、菊地会長を筆頭に役員はほぼ援協と同じ顔ぶれ。傘下団体は、今のところスザノ市のイペランジアホームのみとなっている。会費は一律100レアルと決定した。
その他、モジ市の所有地の売却および、日伯友好病院の規模拡大を目指した土地330平方米(58万レ、同病院に隣接)の購入が承認された。
生活療法の指導者、三枝たか子さんが同日到着し、約1年間援協傘下の自閉症児療育学級で指導にあたること、オキナカ・マリ弁護士が新たにボランティアとして福祉部の法律相談に加わることが発表された。彼女を迎え、法律相談は現在月~金まで毎日対応している。