ニッケイ新聞 2014年4月4日
中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が2日、経済基本金利(Selic)を0・25%ポイント引き上げ、年11%とする事を全会一致で決めたと3日付伯字紙が報じた。
通貨政策委員会は1、2日に開催され、基本金利を10・75%から11%に引き上げる事を決めた。昨年4月に始まった基本金利引き上げは9回連続で、1年間で史上最低だった7・25%から4・75%ポイント引き上げられた事になる。
このところ、インフレ再燃傾向が強まり、基本金利引き上げは市場関係者も予想していたが、経済界では、種々の投資を行いたくても融資を組むのが難しくなるなどの理由で、金利引き上げに反対する声も出ていた。
だが、通貨政策委員会にとり、インフレが政府目標(4・5%+-2%ポイント)の上限を超える事は何としても避けなくてはならない。
インフレ対策は本来、基本金利と公共支出のコントロールの2本柱で行われるが、現政権では、大型の予算カット発表後も支払いが遅れていた前年までの支出が食い込むなどして、公共支出の抑制が困難な状態にある。今年も、1~2月の税収が7%の伸びに止まったのに対し、支出は15%増え、基礎的財政収支の黒字目標達成も危ぶまれているのが現状だ。
この様な状況下、中銀の肩のみにかかっているインフレ対策の責任を果たす方策が基本金利の引き上げに他ならない。
ただ、11年1~7月と13年4月~今回の2回にわたる基本金利引き上げ幅は5・5%ポイントで、11年8月~12年10月の引き下げ幅、5・25%ポイントを上回る。これはルーラ前大統領からの政権移譲時より基本金利が上がった事を意味しており、ジウマ大統領は実質金利を年2%ずつ下げるとの選挙公約を達成出来ずに今政権を終える事になる。
政府の公式インフレ指数であるIPCAは、干ばつや為替変動の影響も受けた食料品や輸入品の値上がりで、少なくとも一時的に目標上限を超える可能性が強い。中銀も12月末の年間インフレ率の予想を6・1%と上方修正した。このため中銀は、2日の会見で基本金利再引き上げの有無を明言する事を避けた。
ジウマ大統領にとっては、選挙年のインフレ高騰や基本金利引き上げはどちらも避けたい事柄だが、先日発表された世論調査では国民の最大の不満がインフレ対策である事が判明しており、金利引き上げも黙認せざるを得ない。中銀の予想が的中すれば、現政権終了時のインフレ率も政権移譲時(5・91%)を上回る。金利やインフレ率が前政権を上回るのは、1999年のインフレ目標設定後、初めてだ。
なお、今回の金利引き上げで、特別小切手で1千レアルを20日間使った時の返済利息は53・87レアルから54レアルに、クレジットカードで3千レアルを借りて1カ月後に返す時の利息も302・40レアルから303レアルに上がる。固定投資ファンドは、管理費が2・5%のものを1年未満、3%のものも2年未満で取り崩すのでない限り、ポウパンサより利率が良くなる。