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カランジル事件=73人の軍警に実刑判決=21年6カ月あとの判決

ニッケイ新聞 2014年4月4日

 1992年10月に起きたサンパウロ市北部のカランジル刑務所での囚人111人の虐殺事件のサンパウロ州地裁での公判が終わり、軍警73人に有罪判決が下された。3日付伯字紙が報じている。
92年10月2日に起きた大虐殺は、カランジル刑務所第9号棟の囚人たちがサッカーの試合を巡って起こした喧嘩が原因で、そこに介入した軍警察が囚人たちを銃撃したもので、111人が死亡していた。
この事件は社会問題化し、2003年には映画化もされたが、裁判開始には21年の月日を要した。それは虐殺に関わった警察官が多く事務手続きに時間がかかったことや、軍警介入を命じたウビラタン・ギマリャンエス司令官が2006年に殺害されるなどの要素が重なったことにもよる。
事件が9号棟の4階分で起こったこともあり、同事件の裁判は13年4月から計76人の被告を対象に4度にわけて行われた。13年4月には15人を殺害した1階部分で23人、8月には78人が犠牲となり最も被害が大きかった2階分に対して25人、14年3月には10人が殺された4階分で10人の被告に有罪判決が下った。
公判第4弾は8人が犠牲となった3階分の虐殺に関わった15人の被告に関して行われたが、ここでも15人全員が実刑判決を受けた。これで合計73人が有罪となり、全員に科された懲役年数は、実に2万876年に及ぶ重い結果となった。
被告側は全員上告の構えでいる。この事件に関しては当時のルイス・アントニオ・フレウリ・フィーリョサンパウロ州知事も「軍警の介入は妥当」と主張してきた。だが、軍警が殺害した囚人のほとんどが頭や心臓を狙われたことから「殺意あり」と解釈されての判決結果となった。
今回の結果に関し、マルシオ・フリッジ検事は「社会が答えをつきつけた」と語り、ジウマ大統領も「刑罰逃れに対する勝利だ」と語っている。