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ロラパルーザって何?=サンパウロで話題のロック・フェス

ニッケイ新聞 2014年4月8日

5日と6日の2日間にわたり、サンパウロ市南部にあるインテルラゴス・サーキットで、今年で第3回目にあたる国際的ロック・フェスティバル「ロラパルーザ・ブラジル」が開催され、2日で15万人を動員する盛況で賑わった。

ロラパルーザは、アメリカのシカゴで毎年8月に開催される、同国内でも最大規模のロック・フェスティバルのひとつだ。現在は南米にチェーン店ならぬ、「チェーン・フェス」がサンパウロを含めて三つ出来ており、南米のロックファンにもすっかりおなじみの存在だ。

この南米版ロラパルーザの光る点は、「アメリカからの直輸入感覚」だ。出演者数はシカゴ版よりも劣るものの、目玉出演者の雰囲気は遜色なく、これが南米のロックファンに「アメリカと変わらないものが見られる」との信頼感を与えている。

日本の場合、フジロックやサマーソニックなどの長い歴史を誇る大型フェスティバルはあるが、「そのバンドの日本での人気」にこだわりすぎるきらいがあるため、特に近年、アメリカで人気のではじめたバンドに対して強い警戒心が生まれ、出演させるのに二の足を踏む傾向が強く見られている。

それに比べてブラジルのファンは、「ブラジルでの知名度」などにはこだわらず、アメリカでの評判を素直に受け入れることから、こうした直輸入感覚の享受が可能となるわけだ。

このロラパルーザ・ブラジルは年を追うごとに集客力が上がり、昨年開催された第2回目は3日間で連日5万人を超える観客が殺到。会場となった競馬場、ジョッキー・クラブの容量が限界に達していた。

それを解消すべく、今年からはブラジルでの主催団体が大手のT4F社に、会場も面積がジョッキー・クラブの約5倍あるインテルラゴス・サーキットへ変更になった。今年はこの効果で、初日に9万人、2日目に6万人の計15万人の動員に成功した。

これだけの人が集まるのには、サンパウロ市内に二つあるロック専門のラジオ局の影響が強い。「89(オイテンタ・エ・ノーヴィ)」と「Kiss」の二つがそれにあたり、リスナーはここで歴史のあるバンドから最新の人気バンドまでをチェックしているため、誰が出演しても対応できる強みがある。今年の場合も、観客が最も殺到した瞬間は、去年から世界的に売れ始めたアメリカのバンドのイマジン・ドラゴンズだった。今回のメインステージでヘッドライナー(トリ)を務めたのも、ミューズとアーケイド・ファイアという、30代前半から半ばの若い部類に入るバンドだ。ベテランの出演も少なくはないが、古くからの知名度や実績のあるバンドに集客を過度に頼る必要もない。

ブラジルのロックファンの国内バンドへの評価は、日本における英米ロックのファンが日本のロックに対して行なうよりもさらに厳しい。出演は日に数組で、よほどの大物でもない限り、集客の多い夕方以降のメインステージに出演することはほとんどない。ブラジルのバンドがロラパルーザに出演した場合は大きなステータスとなるが、それが出来たのは、今年のハイムンドスやナサオン・ゾンビ、昨年のプラネット・ヘンプなど、ブラジルの音楽ファンにも「格として文句なし」と認められているバンドのみだ。