ニッケイ新聞 2014年4月8日
リオデジャネイロ市に住む女性が、病気の父親を救うために自分の肝臓の65%を提供したという話がRJTVで紹介された。
肝臓を提供したのはエステファニエ・ヴェスコンセロスさん(27)で、1週間前に退院し、現在は通常の生活に戻っている。
だが、ステファニエさんの肝臓を受け取った父親で53歳のエンリッケ・マノエル・ジュリアゥンさんの回復は、そう簡単にはいかない。というのも、エンリッケさんは肝臓と心臓を病んでおり、心臓に戻る血管の移植手術と肝臓の摘出と移植手術という込み入った手術を1日で行ったからだ。
血流が止まってしまった心臓の血管を何とかしない限り、肝臓移植には耐えられないと判断した医師達は最初に、本人の脚や胸部からとった血管でバイパスをつくり、血流を確保した。
これによってエンリッケさんの命の危険は回避されたため、医師達はエステファニエさんから肝臓を摘出。肝臓内にある太い血管2本と医学的にぎりぎりとされる肝臓の65%を提供したエステファニエさんは、切除後の肝臓を体内に戻し、術後の回復期間を過ごしているが、執刀した医師達によると、エステファニエさんの肝臓は1年間で通常の大きさの75%まで回復するという。
エステファニエさんには結婚した兄が居るが、父親を救う方法は肝臓の生体移植以外にないと知った時、もう家族が居る兄や母親に負担の大きな手術を受けさせる事は出来ないと判断。家族の中で一番若い自分が父親に肝臓を提供すると心に決めたという。
エンリッケさんの手術には14人の医師が参加し、17時間を要した。退院許可は出たものの、エステファニエさん以上に養生が必要なエンリッケさんは、手術に臨んだ医師の数などを聞き及んだ時、心の底から「新しく生まれ変わった」と思ったという。「エステファニエの回復と、神様が娘が払ってくれた犠牲に何倍もの報いを与えてくれる事を信じる」というエンリッケさんの体内では、エステファニエさんの命も息づいている。(7日付G1サイトより)