ニッケイ新聞 2014年4月8日
ブラジルを代表する大物俳優のひとりで、60年代から現在に至るまで数多くの作品に出演してきたジョゼ・ヴィルケルが5日、リオの恋人の自宅で睡眠中に心臓発作を起こして急死した。6日付伯字紙が報じている。
1944年にセアラー州で生まれ、ペルナンブッコ州で育ったヴィルケルは、15歳のときに共産党主宰の大衆文化運動部に入り、そこで演劇の基礎を学び、65年頃から映画や演劇の役をモらいはじめる。
1967年にリオに移り、そこで後の大御所女優となるマリリア・ペーラなどと知り合った。70年に演劇「オ・アルキテット・エ・オ・インペラドール・ダ・アッシーリア」でモリエール賞を受賞したあたりから注目を浴び始める。
ここからのヴィルケルは、75年のノヴェーラ「ガブリエラ」、76年にも以後30年間、国内映画の興行記録を誇った「ドナ・フロールと2人の夫」と、後に国際派女優としても知られることとなるソニア・ブラガの代表作で主要な役を演じ、ブラジルを代表する俳優となる。この後も79年の映画「バイ・バイ・ブラジル」、85年のノヴェーラ「ロッキ・サンテイロ」と、ブラジル芸能史で今日まで名作と語り継がれる作品に出演しつづけた。
その後は大御所俳優として活躍する傍ら、みずからノヴェーラの演出も手がけるようになった。60歳を過ぎた近年は映画やノヴェーラに欠かせない顔となり、2006年はノヴェーラ「JK」でジュセリーノ・クビチェック大統領の大統領時代以降を演じ、つい最近も、大ヒットしたグローボ局のノヴェーラ「アモール・ア・ヴィーダ」に出演していた。
ヴィルケルの急死は世間を驚かせ、多くの有名俳優らが次々と追悼コメントを出しているが、ジウマ大統領も「芸に身を捧げる人の鑑」として、その死を惜しんでいる。