ニッケイ新聞 2014年4月8日
仕事の後、空手を基礎とした護身術の道場を見学しにいった。暴漢に襲われた場合を想定し、5歳から20代の男女10人ほどが稽古に汗を流していた。
中学時代に剣道をやっていたオーリャ子は、道場の少年が相手を倒した後も構えをとかず、不意の反撃に備える「残心」の動きをしっかりと決めているところに感心し、懐かしさを覚えた。
技の真似をしながら楽しい時間を過ごした友人と別れたすぐ後、自宅への帰り道に、皮肉なことに強盗に遭った。犯人の手には銃が握られており、即席の護身術は出る幕もなかった。
70レアル入りの財布と取材用のカメラを渡すと、犯人は転ぶように走り去っていった。護身術を学びに行って、強盗に襲われていたのではシャレにならない。まず身につけるべきは、襲われないための警戒心と注意力だった。(石)