ニッケイ新聞 2014年4月9日
アンドレ・ヴァルガス下院副議長(労働者党・PT)が7日、60日間にわたる休職願いを出した。ヴァルガス氏は連邦警察が「ラヴァ・ジャット作戦」で捜査中の大型マネーロンダリング汚職の首謀者のアルベルト・ユセフ容疑者との間の疑惑関係を既に指摘されている。8日付伯字紙が報じている。
ヴァルガス氏への疑惑は、同氏が1月にユセフ氏所有のジェット機に乗って家族と北東伯旅行を行なったことが発覚したことで浮上した。この件に関し、ヴァルガス氏は2日の下院で、「軽率だった」と発言し、この旅行を認めていた。また、パラナ州選出のヴァルガス氏は同州を拠点とするユセフ氏と「20年来の知り合い」であることも認めている。
さらに、先週末発売された「ヴェージャ」誌では、この両氏が13年9月~14年2月にかけて、メールで企業の不正契約に関してのやり取りを行なっていたことが暴露された。これはラボージェン・キミカという化学薬品の会社が保健省と1億5千万レアルの契約を結んだもので、ヴァルガス氏はこの際、契約の立会いをユセフ氏に依頼されている。メールでは、ユセフ氏がヴァルガス氏に報酬の支払いを約束し、ヴァルガス氏も値段交渉に応じている様子がとらえられていた。
また、このラボージェンの契約には、現在問題となっているペトロブラスのパサデナ製油所の買収疑惑に携わったとされている元同社理事のパウロ・ロベルト・コスタ容疑者も絡んでいる。
この事態を重く見たPT幹部は、ヴァルガス氏に辞任を求めた。このスキャンダルが長引けば、10月の大統領選で再選を狙うジウマ大統領や、サンパウロ州やパラナ州で知事選を目指すアレッシャンドレ・パジーリャ前保健相やグレイジー・ホフマン前官房長官の選挙戦に響くからだ。
だがヴァルガス氏は、60日間の休職という形で対処を行なった。同氏はラボージェンの件での無実を主張しており、辞任という形で罪を認めたくないからだ。同氏は、求職中の2カ月間は2万6723・13レアルの給料の受け取りも行わないことも明らかにした。
だが、もう既に民主党(DEM)や社会大衆党(PPS)、社会主義自由党(PSOL)といった野党が議会審理委員会での調査を求めている。また、パラナ州連邦地裁も、「ラヴァ・ジャット作戦」の規模が全国的であることから、「裁判が行なわれるとしたら最高裁から」との見解を既に示している。
また、エンリケ・アウヴェス下院議長もこの件を重く見ており、ヴァルガス氏が辞任を先延ばしするようだと、記名性による議員罷免の投票も辞さないという考えを示している。
ヴァルガス氏はメンサロン裁判の際、PT関係者に対して厳しい判決を下す最高裁の裁判を激しく批判した急先鋒として知られている。