ニッケイ新聞 2014年4月10日
ルーラ前大統領は8日、労働者党(PT)寄りの政治ブログの記者たちを集め、ペトロブラス問題に関する議会調査委員会(CPI)設置は選挙前の野党側の苦肉の策で、発足は何としてでも阻止すべきとの考えを明らかにした。また、ジウマ政権の経済対策に対する考えも語った。9日付伯字紙が報じている。
政治ブログ記者たちとの会見はサンパウロ市で持たれ、ルーラ前大統領はペトロブラスに関するCPI結成について「嘘が出回り続けるのを認めるわけにはいけない。連邦政府は全力を挙げ、真実だと信じていることを守るべきだ」とし、CPIがPT攻撃の場にならないために「何としても対抗勢力に打ち勝たなくてはならない」とも語った。
この会見は、ルーラ氏とジウマ大統領が4日に会談を行ない、徹底してCPI設置を阻止することで合意にいたったことを受けたものだ。PTは郵便局内の汚職をめぐるCPIがメンサロン事件発覚につながったことの二の舞を、何としても避けたいと考えている。
ルーラ氏がこの発言を行なった8日、上院の憲法法務委員会(CCJ)はペトロブラスのCPI設置の決定を9日に延期した。上院のCCJは連立与党の党員が中心で、報告官のロメロ・ジュカー上議(民主運動党・PMDB)は、CPIはペトロブラス問題とともに、アエシオ・ネーヴェス氏が党首を務める民主社会党(PSDB)が関わっているサンパウロ市地下鉄のカルテル疑惑や、ブラジル社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス氏が知事を務めていたペルナンブッコ州スアペ港の汚職疑惑も取り扱うべきとの票を投じている。これはペトロブラス疑惑への矛先をそらしてCPIを空洞化させる一方で、他の大統領候補への打撃になることを狙う政府の意向を汲んだものだ。
このジュカー上議の意向を阻止しようと8日、アエシオ氏を筆頭とする野党グループが一斉に最高裁に出向き、CPIをペトロブラスだけのものにすることを司法的に義務付けさせようとした。同件に関してはカルドーゾ元大統領も、「ペトロブラスは国民的関心事であり、真実を追究して正すべきところは正すべきだ」と語っている。
また、ルーラ前大統領は、経済政策への懸念が広がっているジウマ現政権に対し、「ジウマは再選キャンペーンで、どういう経済政策をとるつもりなのかはっきりと言う必要がある。それがブラジル経済回復の第一歩だ」と語っている。一方、自身の大統領選再出馬については「あなた方がそういう噂を消してくれればこの国の民主主義化への貢献につながるよ」と言って、改めて否定した。
さらに、メンサロン裁判で投獄され、昨年11月から外で働く許可を待ち続けているジョゼ・ジルセウ氏に関して、最高裁が労働を認めないのは「司法権の乱用だ」と批判した。PTに不利な裁判結果を導いたジョアキン・バルボーザ長官を03年に指名したことについては、「最高裁に黒人判事を入れたかったから選んだのであり、後悔していない。あのときはメンサロン事件も起きていなかったし、それを裁くために採用したつもりもない」と語った。